猫に生肉をあげてはいけない5つの理由

猫に生肉をあげてはいけない5つの理由

こんにちは。クボタです。

ここ数年、猫に生肉をあげる飼い主さんが増えてきているようですね。

なんでも、生肉には加熱すると死んでしまう酵素などが含まれており、健康に良いのだそうです。

これは本当なのでしょうか?

実はうちでも飼い猫2匹に生肉を食べさせてみたことがあります。

1年ほど前の話です。猫のご飯専門店で「エゾシカの生肉」を購入して与えてみました。

そのときの状況と合わせて、生肉に対する感想と私の考えを書きたいと思います。

あわせて読みたい
猫に生肉をあげてはいけない5つの理由
猫にとって危険な食べ物とおすすめの食べ物を解説! 猫の飼い主の頭を悩ませる問題の1つが食べ物に関する悩みですね。 猫は肉食動物であり、人間とは食性も生態も全く異なります。「なんとなくキャットフードを食べさせて...
目次

結論:猫に生肉はいらない

いきなり結論から書いてしまいますが、クボタとしては猫に生肉を食べさせる必要はないという結論です。

その理由を以下に書きます。

理由1:体に良いという科学的根拠が少ない(2020年現在)

生肉が猫の体に良いという科学的根拠は2020年現在のところほとんどありません。

「猫 生肉 論文」でグーグル検索すると犬に生肉を与えてドッグフードと比較した実験はありました。

Sandri M, Dal Monego S, Conte G, Sgorlon S, Stefanon B. Raw meat based diet influences faecal microbiome and end products of fermentation in healthy dogs. BMC Vet Res. 2017 Feb 28;13(1):65.

ドッグフードを与えた群と生肉+オーツ麦などを与えた群で比較したところ、生肉の群のほうが腸内環境が良くなったそうです。

しかし、サンプル数が極端に少ないこと(犬8頭で実験)、犬と猫は食性が違うこと、オーツ麦など肉以外の食べ物の影響を排除してないこと、などから猫の生食に対するエビデンスのレベルとしてはあまり高くないんじゃないかと思います。

生肉を与えることで腸内環境が良くなる可能性というのはありえないことではないと思うので、今後もっと研究が進めばはっきりしてくるかもしれません。

ただ、現状では科学的根拠があるとは言い難いです。

猫に生肉をあげてはいけない5つの理由わさ

消化率が高いというのは確かに実感と合うな。

猫に生肉をあげてはいけない5つの理由フレイ

おいらは食べなかったからわかんないや。

理由2:生肉は食中毒の危険がある

英国獣医師会の雑誌Vet Recordに2018年に掲載された論文によると、市販の生肉製品から非常に危険な細菌がたくさん発見されたとのことです。

van Bree, FPJ., Bokken, GCAM., Mineur, R., Franssen, F., Opsteegh, M., van der Giessen, JWB., Lipman, LJA., Overgaauw, PAM.(2018) Zoonotic bacteria and parasites found in raw meat-based diets for cats and dogsVeterinary Record 182, 50.

具体的には、オランダ国内の8つのブランド35種類の生肉を分析したところ、およそ25%から大腸菌が、20%からサルモネラ菌が検出されたとのことです。さらに、2つの製品からはトキソプラズマまで見つかったとか。

もちろんこれは日本の製品を調べたわけではないので、我々が普段買える生肉とは母集団が違うかもしれません。

しかしながら、日本を調査した論文はなくとも、一般常識的に考えて「日本の肉は生で食べても平気だ!」なんてありえないでしょう。

市井の食品スーパーで売ってるような人間用の肉は生食することは想定されていませんので危険性が高いです。

一方、キャットフード専門店などで売っている猫用の生肉はキャットフードという扱いになり、食品衛生法の適用ではなくペットフード安全法という法律で管理されます。したがって人間が食べれるレベルより衛生水準が低い可能性があります。

日本で売ってる生肉を食べて食中毒になってもなんらおかしいことはありません。

猫に生肉をあげてはいけない5つの理由わさ

安全な食べ物を食べたいのは猫も人間も同じだな。

猫に生肉をあげてはいけない5つの理由フレイ

肉を食べて中毒死なんてまっぴらごめんだじぇ……。

理由3:そもそも生肉も自然じゃない

生肉派の方がよく言う主張のひとつに「猫は本来肉食動物で、自然界にいたころは生の肉を食べていた。だから生肉を与えるのが自然な猫の食事のあり方だ」というものがあります。

確かに、ネズミをとっ捕まえてその場でバリバリ食べるならそのとおりかもしれません。

しかし、キャットフード専門店などで売っている生肉の多くは一旦冷凍されたものですし、市井の食品スーパーで売ってる肉もチルド冷蔵で何日間も保存されたものです。

つまり、流通のために解体して冷蔵・冷凍してる時点で自然じゃないんです。

何日間もチルド冷蔵したり、冷凍したりする時点で栄養素は変化します。

そもそも野生の猫の食事は、内臓や毛や骨や胃の内容物ごとネズミを頭から食べるのが自然なんであって、スライスされた肉だけを食べるというのはそれ自体が自然ではないと思います。

理由4:カリカリに比べて食いつきが悪い

ここからは私と2匹の体験談になります。

上にも書いたように、うちも1度だけ2匹にエゾシカの生肉を与えてみたことがあります。

キャットフード専門店で売っていた冷凍の生肉で、完全なミンチと少し肉の組織が残ったやつを半々で混ぜて20gずつぐらい与えてみました。

心配だったので「生で与えても大丈夫な肉か」というのをお店にメールで確認したうえで与えました。

結果、わさくんは全部食べましたが、フレイくんは気に食わなかったようで口をつけることすらありませんでした。

猫に生肉をあげてはいけない5つの理由フレイ

だってカリカリに比べたらあんまり美味しそうな匂いもしないし、不味そうだったんだもん……。

フレイくんは「なにこれ。いつものご飯は?」という感じであたりをキョロキョロしたあと、不満そうに砂かけしていました。

わさくんは全部食べましたが、それでも缶詰やチュールなどに比べたら嗜好性は劣るみたいな感じでした。

猫に生肉をあげてはいけない5つの理由わさ

んー、やっぱり生肉はフレーバーも何もついてないし、缶詰とかのほうが美味しいかな

フレイくんは比較的なんでも食べるほうで、今まで数種類のカリカリを食べさせてきましたが、好き嫌いをしたことはありません。拒絶したのは生肉だけです。

今のキャットフードはメーカーがしのぎを削って研究に研究を重ねていて、とても良くできているというのがよくわかりました。

理由5:管理がしにくい

私が買った猫用の生肉はミンチを100g、肉の組織が少し残ったやつ(みじん切り)を100g買ったんですけど、ジップロックみたいな袋に入って冷凍されて宅配便で送られてくるんですよね。

で、200gもいっきに食べれないので、凍ったまま包丁で切って一晩冷蔵庫で解凍してから与えるんですけど、これがすごくめんどくさい。

猫が欲しいって言ったときにすぐあげられないんですよ。

それに、包丁で切った残りの部分はまた冷凍庫に戻すんですけど、これって結構不衛生じゃありません?

まな板に乗せたり包丁で切ったりするときに菌がついたりしないだろうかと。

ただでさえ生は食中毒の危険があるのですから、衛生的に管理しずらいっていうのはちょっと困りますよね。

猫に生肉をあげてはいけない5つの理由わさ

冷蔵庫から出したばかりだと冷たいので少しだけレンジで温める必要もあるな

猫に生肉をあげてはいけない5つの理由フレイ

お腹すいたときにはすぐに食べたいじぇ……。

生肉の良かった点

消化吸収は良さそうだった

わさくんは胃が弱く、食べ物によっては嘔吐したりするのです。

生肉を20gもいっぺんに食べたので消化不良起こしちゃうかなぁと思ってちょっと心配だったのですが、全くそんなことはありませんでした。

食べ終わった後はスヤスヤと寝始めて、特に胃が気持ち悪いといった様子も無く、嘔吐などすることもなく、翌日には健康的なコロコロうんこが出ました。

やっぱり肉食なんだなぁと感心しましたね。人間があんなに肉ばっかり食べたら胃もたれすると思います。

まとめ:猫に生肉はいらない

以上が私が猫に生肉はいらないと感じた理由です。

飼い主さんによってそれぞれお考えがありますし、猫ちゃんの嗜好も個体差がありますが、どうぞ参考になさってください。

猫に生肉をあげてはいけない5つの理由わさ

基本的に猫はキャットフードだけ食べてるのがいちばんいいよ

猫に生肉をあげてはいけない5つの理由フレイ

安全にできてるし、美味しさも追求されてるしね。

あわせて読みたい
猫に生肉をあげてはいけない5つの理由
猫にとって危険な食べ物とおすすめの食べ物を解説! 猫の飼い主の頭を悩ませる問題の1つが食べ物に関する悩みですね。 猫は肉食動物であり、人間とは食性も生態も全く異なります。「なんとなくキャットフードを食べさせて...

【参考】
飼い主のためのペットフードガイドライン〜犬と猫の健康を守るために〜/環境省

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次