猫同士の行動を見る限り上下関係があるのではと感じる場合があります。
実際、猫同士で上下関係は存在するのでしょうか。
今回は猫社会や飼い主との間における上下関係について解説します。
多頭飼いの人、猫と円満な生活をおくりたい人に読んでいただきたい記事です。
猫の上下関係
猫には絶対的な上下関係はないものの、ある程度の序列は存在します。
猫は本来、単独行動をする動物です。
ライオンを除くネコ科の動物は群れをもたないため、縦社会で生活する習性はありません。
狩りも単独でおこなうので、猫自身の意思で自由に動きます。
したがって、上下関係の必要性はありません。
ただし、中には割とはっきりした上下関係をもつ猫や、優劣がまったくない猫もいます。
猫の上下関係はあいまい?
猫にも一応は上下関係のようなものがあります。
とはいえ、優位な猫に絶対的な権力があるわけでもなく、劣位の猫も絶対に服従しているというわけではありません。
猫にとっては互いの関係性よりも縄張りを守るほうが重要なので、上下関係を重視しておらず非常にあいまいです。
猫には上下関係より深い「親和関係」と「敵対関係」が存在します。
親和関係にも敵対関係にもあてはまらない猫同士には、多少の上下関係があると考えられています。
猫同士の関係性は、親和関係・敵対関係・上下関係の3種類であると考えられます。
特に複数の猫を飼っている場合は、関係性を知っておく必要があるでしょう。
猫同士の関係性は、猫たちの行動を観察すれば簡単に見分けられます。
それぞれの特徴を紹介するので参考にしてみてください。
親和関係
親和関係にある猫同士は見てわかるほど仲が良く、一緒に過ごす時間が多いのが特徴です。
- グルーミングをしあう
- スリスリしあう
- 同じ場所で寝る
- じゃれあう
などの行動をするため、親和関係にあるのはわかりやすいでしょう。
敵対関係
一方、敵対関係にある猫同士は激しく威嚇しあいます。
毛を逆立てて爪をむき出し、遊びでじゃれあうのとは違って噛む力の加減をしません。
本気の攻撃をするのでケガをする危険性があります。
見るからに仲が悪いので、判断がしやすいでしょう。
上下関係
親和関係・敵対関係のどちらにもあてはまらない猫同士は、それとなく上下関係を築きます。
絶対的ではなくゆるい序列関係で、程よい距離感を保つのが目的のようです。
優劣は猫の性格や環境によって決まり、先住猫が優位、体の大きい猫が優位などさまざまでしょう。
どの猫が優位かを知るためには、猫たちの行動をよく観察するとわかります。
- 追いかける
- 威嚇する
- 睨むように見つめる
- 軽い攻撃をする
- 堂々としている
上記のような行動をしている猫は優位、されている猫やどこか遠慮している猫は劣位と判断できるでしょう。
威嚇や攻撃といっても、敵対関係にあるような本気の行動ではありません。
会うたびにするわけでもなく、なんとなく気分で行動する印象です。
敵対関係のように深刻な状況でなければ、飼い主が介入する必要はないでしょう。
飼い主との主従・上下関係はある?
猫と飼い主の間には、主従・上下関係はほぼありません。
そもそも猫にとっては他の猫も人間も変わらず、特別な存在として見ていないのです。
ただしいつもお世話をしてくれる飼い主には、母猫同然の扱いをするでしょう。
上下関係ではなく、一緒にいて安心したり甘えたりできる親和関係にあるといえます。
また、猫は好き嫌いもしくは役割によって飼い主の優先順位をつけているようです。
「子供が触れると怒って引っ掻く」「旦那さんが呼んでも来ない」などの経験はありませんか?
猫が上下関係を決めていて見下されていると思いがちですが、実はそうではありません。
子供がしつこかったり力が強くて痛かったりした、つまり嫌な思いをした可能性があります。
旦那さんがいつもお世話をしないならば、猫にとってはいなくてもいい存在なのかも知れません。
猫は必要(有益)な人か、好きか嫌いかで判断します。
一人だけがお世話をするのではなく分担すると、猫もその人の必要性を認識して親和関係を築いてくれるでしょう。
複数の猫を飼うときの注意点
猫を複数飼う場合、猫同士の関係性において注意する点を3つ紹介します。
たまたま相性が良ければラッキーですが、なかなかうまくはいきませんよね。
多頭飼いで猫同士のトラブルに悩んでいる人や、これから猫を増やす予定の人はぜひ参考にしてください。
①先住猫がいて、新たに猫を迎える場合
すでに猫を飼っていて新たに猫を迎える場合は、猫同士の相性をしっかり観察して見極めなければなりません。
特に敵対関係になってしまったら最悪の場合、部屋を分けるなどの対処が必要です。
先住猫を優位とするには、飼い主が先住猫を優先的にお世話する行動を徹底します。(後から迎えた子を蔑ろにするという意味ではありません)
例えば、ご飯をあげる順番や遊んであげる順番などです。
まれに体が大きいなどの理由で後から来た猫のほうが威張ってしまうケースもありますが、それでも飼い主が順番を徹底すれば次第に理解するでしょう。
②喧嘩がひどい場合
猫同士が敵対関係になってしまった場合は、放っておくと致命傷を負うなどのトラブルに発展する可能性があります。
部屋を分けるなどの対処が必要です。
③ストレスを抱えている場合
平和そうに見えても、問題が起きている場合があります。
特にゆるい上下関係がある劣位の猫は、優位の猫の静かな威圧によってストレスを抱える子がいるようです。
喧嘩と違って判断が難しいですが、普段から猫の様子をしっかり観察して異変に気付けるようにしましょう。
- 元気がない
- 食欲がない
- トイレの頻度が極端に増えた・減った
こういった場合は部屋を分けるなどして、ストレスがかからないための対処が必要です。
猫の性格を尊重して円満な生活を
猫同士の関係性は、猫の性格と生活環境によってさまざまです。
また、猫と飼い主の関係性については、飼い主の行動が「鏡」であるといえるのではないでしょうか。
大切にお世話してあげれば親和関係を築けますし、蔑ろにしたり乱暴に扱ったりすれば敵対関係になってしまいます。
親和関係・敵対関係・上下関係の特徴をしっかり理解して、猫とうまく付き合っていきましょう。