猫が夜中や明け方に走り回ったり暴れたりする、いわゆる「猫の運動会」に悩まされた経験はありませんか?
この行動は「真空行動」と呼ばれており、本来、猫にとってはごく自然な行動です。
しかし、屋内で飼育している場合は眠れない・近所迷惑など困り事も多々あるはず。
今回は猫が真空行動をする理由や対処法、放っておいたらいつまで続くのかなどを詳しく説明します。
猫の運動会で悩んでいる人は、ぜひ参考にしてくださいね。
真空行動は2歳ごろがピーク
さて、猫の真空行動が一体いつまで続くのか気になりますよね。
この章では真空行動が始まって収まるまでの時間と、何歳まで続くのかを説明しましょう。
年齢は2歳ごろがピーク
猫の真空行動は生後2〜3ヶ月頃から始まり、2歳頃がピークというケースが多いようです。
したがって、3歳以降は次第に落ち着いていき、シニアになればほとんどしなくなります。
とはいえ、やはりこちらも猫の性格によって差があるため、シニアで真空行動をしていたら異常というわけではありません。
もちろん、まったく真空行動をしない猫もいます。
収まるまでの時間は30分程度
真空行動が始まって収まるまでの時間は、短くて15分、長くても30分程度と言われています。
もちろん猫の性格によって多少は前後しますが、ほとんどの場合は猫が疲れたり満足したりすれば終わるでしょう。
猫が真空行動をやる理由
夜中や明け方になると急にテンションが上がって、ものすごい勢いで走り回ったり高い所に登っては飛び降りたり…という行動が「真空行動」です。
”真空”とは「空気などの物質がまったくない」「何もない」状態を意味するため、何もない空間に向かって走ったり飛びついたりする様子から名付けられた説があります。
ほかにも「何もない=暇だから走り回る、目的もなく走り回る」など諸説ありますが、実は猫の真空行動には理由(原因)があるのです。
理由①野生本能のなごり
猫はもともと夜行性と言われていますが、正確には「薄明薄暮性(はくめいはくぼせい)」。
つまり、夕暮れや明け方の薄暗がりの時間帯がもっとも活発です。
室内飼育では狩りをする必要がないものの、ハンターの本能が働いて真空行動を起こします。
日中は狩りに備えてエネルギーを充分に蓄え、夜中や明け方に一気に開放するため激しく暴れ回るのです。
理由②運動不足
基本的に猫は散歩へ連れて行きませんよね。
室内飼育の場合、どうしても運動不足になりがち。
真空行動によって、有り余った体力を発散させているのです。
理由③ストレスが溜まっている
ストレスが溜まっている場合も、そのストレスを発散させようと真空行動をします。
ストレスの原因は、猫それぞれ。
- 遊んでもらえない
- 小さな子供がいる
- 騒音がある
- 引っ越しをした
- アロマなど嫌いなニオイがする
- 同居しているほかのペットと相性が悪い
など、各家庭の環境や猫の性格によってさまざまです。
真空行動をやめさせるには?
冒頭でもお伝えしたとおり猫にとって真空行動はごく自然な行動なので、完全にやめさせるのは難しいでしょう。
しかし人間にとっては睡眠の妨げになってしまうのも事実。
だからといって「やめなさい!」と叱るのは、かえって猫を興奮させて逆効果になるため絶対にしてはいけません。
そこで、猫を落ち着かせて真空行動の頻度を減らすための方法をお伝えします。
猫にも人間にもプラスになるので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
①運動させる
運動不足の解消は、真空行動を減らすのに効果的。
具体的には、おもちゃで遊んであげる・キャットタワーの設置の2つが有効です。
ただし、おもちゃで遊ぶ場合は時間帯に注意しましょう。
遊んで興奮した気分を落ち着かせる「クールダウン」の時間が必要なので、飼い主の就寝1時間前に10〜20分ほど遊ぶのが目安となります。
キャットタワーは登ったり降りたりという上下運動ができるため、普段の運動不足が解消されて肥満防止にも役立ち、一石二鳥ですよ。
②一人で遊べるようにする
飼い主が寝てしまっても猫が一人で遊べるように、据え置き型のおもちゃを設置するのも効果的です。
ボールや猫じゃらしなど持ち運びができるおもちゃではなく、据え置き型というのがポイント。
さらに、タイマー機能があるとよいでしょう。
ただし猫の性格によってはおもちゃによる興奮で余計に暴れる子もいるため、様子を見ながら試してみてください。
③ストレスのない環境をつくる
ストレスフリーの環境は、真空行動だけでなく猫が穏やかに過ごすために最高の条件です。
完璧には難しいかもしれませんが、可能な限りストレスの原因を取り除いてあげましょう。
発散するストレスがなければ、おのずと真空行動も減るはずです。
騒音の対処法
マンションなどの集合住宅の場合は、猫の足音や雄叫びといった騒音が心配です。
近所迷惑になったりトラブルに発展したりしないように、対策しておきましょう。
①床にマットを敷く
床にカーペットやマットを敷くだけでも、猫が走り回ったり高所から飛び降りたりする足音を軽減できます。
安いタイルカーペットなどでもかなり効果がありますよ。
金銭的に余裕があれば、フローリング全体にクッションフロアを貼るとなおよいでしょう。
②遮音機能があるカーテンなどを設置
防音の壁材やドア、窓などに変更すると騒音がかなり軽減されますが、賃貸マンションなどでは難しいですよね。
そこで、床のマットに加えて遮音カーテンの設置がおすすめです。
防音壁などの建材には劣るものの、猫の鳴き声には効果があります。
③家具の見直し
猫は棚の上などの高い場所が好きですよね。
しかし、登ったり飛び降りたりするときにガタガタすると、結構な騒音となります。
猫が乗って動くような家具は、固定してしまうのがベストです。
また、よく登る場所に余計な物を置いておくと、落としたときに大きな音がする可能性もあります。
必要のない物は片付けて、落下音を回避しましょう。
④近隣住民とのコミュニケーション
近隣住民とコミュニケーションをとり、良好な関係を築いておくのも大切。
ペットがいると認知してもらうだけでなく「いつもご迷惑をおかけしてすみません」というスタンスでいれば、トラブルに発展する確率もグッと減るでしょう。
真空行動まで愛してあげましょう
これまでお伝えしたように猫の真空行動を無理にやめさせるのは、かえって猫のストレスとなります。
猫の本能なんだと理解して、人間のほうが合わせてあげる必要があるかもしれません。
今回紹介した方法で多少なりとも軽減するはずなので、ぜひ試してみてください。
人間にとってはちょっと迷惑な真空行動、しかしそれも可愛い愛猫の行動です。
飼い主側も日頃からストレスを溜めず、神経質になりすぎず、すべてひっくるめて愛してあげましょう。