愛猫が突然毛玉を吐いて、驚いた経験がある方は多いのではないでしょうか。
特に初めて見た方は、体調が悪いのではないか、病気ではないかと心配になってしまいますよね。
実は、猫が毛玉を吐く行為は自然の摂理なのですが、状態によっては早急な対処が必要な場合もあります。
本記事では猫が毛玉を吐く理由と毛玉の予防法をお伝えしますので、愛猫の健康を維持するためにもぜひ参考にしてくださいね。
毛玉を吐く理由はグルーミングが関係している
猫は起きている間の半分もの時間をグルーミング(毛づくろい)に費やすといわれています。
グルーミングの役割は主に次のとおりです。
- 身体の清潔を保つ
- 匂いを消す
- 体温調節
- 気持ちを落ち着かせる
そのほか、親しい猫への親和行動として相手の身体をなめる「アログルーミング」も、猫にとって重要な行為です。
ザラザラの舌で身体中をなめ、その際に抜け毛も一緒になめ取って飲み込んでしまいます。
通常は便とともに排泄されますが、飲み込んだ毛の量が多い場合は胃の中に溜まって毛玉となってしまうのです。
毛玉が大きくなると便と一緒に排泄できなくなり、体外へ出すには吐き出すしかありません。
これが、猫が毛玉を吐く理由です。
長毛種と神経質な猫は特に注意が必要
健康な猫で年に2回以上毛玉を吐く割合は、短毛種が25%ほどであるのに対し、長毛種では50%を超えるといわれています。
毛が長く量も多い長毛種は、そのぶん毛玉ができやすいのですね。
また、神経質な猫も毛玉ができやすい傾向にあります。
グルーミングにはリラックス効果があり、神経質な猫は気持ちを落ち着かせるためにグルーミングの頻度が多くなりがちです。
そのため、飲み込む毛の量が増えて毛玉ができやすくなります。
したがって長毛種や神経質な猫は、短毛種以上にブラッシングなどのケアに気を配らなければなりません。
特に春と秋(3月・11月ごろ)の換毛期、つまり毛が生えかわる時期は必然的に抜け毛が増えるので要注意です。
毛玉を吐く頻度と状態をチェックする
猫が毛玉を吐く行為は生理現象であるため、頻度が1〜2週間に1回程度であれば問題ないといわれています。
しかしそれ以上に頻繁に吐いたり、嘔吐した中に血や異物が混ざっていたりしたら早急に動物病院を受診しましょう。
さらに、吐く行動はするのに吐き出せない場合や下痢・便秘などの症状がある場合は毛球症の疑いもあります。
毛球症については次の章で詳しく説明していきましょう。
毛球症は毛玉が詰まる症状
通常、猫が吐き出す毛玉の大きさは約2〜3cm。
個体差はあるものの、少し細めのうんちのような形で出てくるケースが多いようです。
しかし毛玉が溜まりすぎて大きくなると、うまく吐き出せずに胃や食道、腸などに詰まってしまいます。
これが毛球症です。
毛球症になると毛玉は出ないのに嘔吐を繰り返したり、下痢や便秘になって食欲がなくなってしまったり、最悪の場合は腸閉塞を起こして手術が必要になる可能性もあります。
先述したとおり長毛種は毛が長く量も多いため、毛玉が大きくなりやすいので特に注意が必要です。
日頃から吐いた毛玉や便の状態をよく観察して、深刻な事態になる前に対処できるようにしましょう。
毛玉を予防する3つの方法
ここからは毛玉を予防する3つの方法をお伝えします。
生理現象といっても、やはり猫も毛玉を吐くのはつらいはずです。
少しでも負担を減らしてあげるために、ぜひ参考にしてくださいね。
①ブラッシング
猫のボディケアの基本、ブラッシングは毛玉予防に有効です。
グルーミングによって抜け毛を飲み込んでしまう前に、できるだけブラッシングで取り除いてあげましょう。
短毛種には皮膚を傷つけないよう柔らかめで短いラバーやシリコン製のブラシ、長毛種にはより抜け毛が取りやすいスリッカーブラシを使うのが一般的です。
個人的におすすめしたいブラシは「ファーミネーター」という商品。
こちらは猫の毛の長さ(短毛用・長毛用)、体格(小型猫・大型猫)ごとに販売されています。
不要なアンダーコート(内側のフワフワした綿毛のような毛)の除去に特化しているブラシのため、毛玉対策に非常に有効です。
ただしどのブラシを使う場合でも、毛質が柔らかい猫の場合は毛が絡まりやすいので、注意しながらといてあげてくださいね。
長毛種を上手にブラッシングするコツは、まず目の粗いコームで全体を優しくとき、毛玉や絡まりがないのを確認したあとにスリッカーブラシで細かくとく方法です。
さらに少し裏技的な方法になりますが、仕上げに柔らかい豚毛ブラシを使うと、細く柔らかい抜け毛もしっかりキャッチしてくれます。
豚毛ブラシは100円ショップでも購入可能で、1つ持っておくと便利ですよ。
ちなみに筆者は100円ショップの衣類用ブラシコーナーで見つけました。
また、ブラッシング後にペット用のシャンプータオルか濡れタオルで拭いてあげると、表面に残った抜け毛も除去できます。
ブラッシングを嫌がる子の場合は、まずアゴや額などの気持ちいいと感じる場所から始めて、徐々に慣らしていくとよいでしょう。
どうしても難しい場合は、定期的にトリミングサロンでシャンプーやトリミングをしてもらうだけでもある程度の効果があります。
ブラッシングは猫の毛玉予防に有効であるのはもちろん、コミュニケーションもとれる一石二鳥のケアなので、毎日の習慣にしてくださいね。
猫のブラシについては以下の記事に詳しく書いてあるのでご覧ください。
②毛玉ケアの食事を与える
最近は「ヘアボールコントロール」など、毛玉ケアに着目したキャットフードが多数販売されていますね。
これらは食物繊維の配合量を増やし、消化管の動きを促進する目的で作られたフードです。
毛玉ケアのキャットフードを食べると胃の中の毛玉が便と一緒に排泄されやすくなるため、毛玉を吐く頻度が減ります。
急に切り替えると消化不良の原因となるため、1〜2週間ほどかけて徐々に切り替えていきましょう。
大半の毛玉ケアフードは健康な猫が食べても問題ない栄養バランスで作られており、普段毛玉を吐かない猫にも予防用として与えられます。
ただし、もともと胃腸が弱い猫や穀物アレルギーがある猫などは注意が必要です。
胃腸が弱い猫に食物繊維たっぷりの毛玉ケアフードを食べさせると、下痢や便秘の原因となります。
また、穀物アレルギーをもつ猫に穀物由来の食物繊維が配合されているフードを誤って与えてしまうと、命を落としかねません。
どのフードを選べばよいか迷ったときは、獣医さんに相談してみましょう。
③毛玉予防グッズの活用
日頃のブラッシング用ブラシ以外にも、毛玉予防に効果的なグッズがあります。
例えば、遊びながらブラッシングできる「どこでもツメとぎ おめかしブラシ」という商品。
猫が大好きな爪とぎとブラシが一体型になっていて、上機嫌でスリスリしながらブラッシングができてしまうという画期的なアイテムです。
そのほか、毛玉ケアフード以外にサプリメントや毛玉除去剤、猫草を与える方法もあります。
ただし、これらは猫の健康状態や年齢によって与えられない場合があるため、獣医さんに確認してから取り入れましょう。
猫草については以下の記事もご覧ください。
さらに、当たり前のようで意外と盲点なのが寝床の掃除です。
猫用ベッドやキャットタワーなどは猫の毛がつきやすく、その場でグルーミングをするとベッドについた毛までなめ取ってしまう可能性があります。
日頃からコロコロなどを使ってこまめに掃除しましょう。
先述した豚毛ブラシは、布製品についた毛を取り除くのにも非常に便利ですよ。
毛玉対策は日頃のケアが大切です
猫が毛玉を吐く行為は生理現象とはいえ、見ている飼い主もつらいですし、できるだけ苦しい思いをさせたくありませんよね。
それが頻繁ともなると、猫の健康にも影響してきます。
毛球症の予防はもちろん、なるべく毛玉が溜まらないように日頃のケアが大切です。
ぜひ本記事で紹介した予防方法を試して、愛猫の健康維持のサポートをしてあげましょう。