猫同士が毛づくろいをし合う「アログルーミング」。
多頭飼いをしている家庭でよく見られる行動です。
猫にははっきりとした絶対的な上下関係はないものの、ゆるい上下関係(序列)は存在します。
ではその序列は、アログルーミングにも関係しているのでしょうか。
今回はアログルーミングでわかる猫の関係性について説明します。
場合によっては猫への接し方が変わる可能性もあるので、ぜひ最後までよく読んで参考にしてください。
アログルーミングするほうが優位、されるほうが劣位
猫社会には絶対的な上下関係はないものの、ある程度のゆるい上下関係は存在します。
そこで注意して見てほしいのが、一方的になめているかどうか。
親和関係にまでは達していないけれど敵対関係でもない、いわゆる「序列関係」にある猫は、優位にある猫がずっと一方的になめている場合があります。
アログルーミングするほうが優位、されるほうが劣位です。
劣位の猫は、優位の猫のマウント行動によってストレスを抱えてしまう可能性があります。
普段はそれとなく仲が良いように見えるので、飼い主がストレスに気づかないケースも少なくありません。
性格によってはストレスをひた隠しにするので気づくのは難しいかもしれませんが、日頃からよく観察して不調に気づけるようにしましょう。
- 隠れるように隅っこばかりにいないか
- 食欲はあるか
- トイレの頻度や便の調子
などには特に気をつけて観察するようにしてください。
あまりにストレスを感じているようであれば、部屋を分けるなどしてストレスが溜まらない環境を整えてあげましょう。
アログルーミングはどんな猫でもする?
結論からいえば、アログルーミングをする猫は基本的に「親和関係」にある猫同士です。
敵対関係にある猫同士は、アログルーミングをしません。
また、主にメス同士もしくはオスとメスの組み合わせが多く、オス同士ではあまりしないのが特徴です。
ただし、親子や兄弟などすでに親和関係にある猫は、オス同士でもアログルーミングをする場合があります。
とはいえ、性格や相性もあるため必ずしもそうとは限りません。
親和関係にあってもアログルーミングをしない猫は少なからずいます。
つまり、アログルーミングをしないからといって一概に「仲が悪い」とは言い切れないのです。
そのほかの行動をよく観察して、猫同士の関係性を見極めましょう。
アログルーミングをする3つの理由
猫がアログルーミングをする理由は、自分自身で毛づくろいするセルフグルーミングの目的とは異なります。
まず、セルフグルーミングでは
- からだの清潔を保つ
- 体温調整
- 食べ物などのニオイを消す
- 心を落ち着かせる(リラックス)
などが目的です。
いっぽう、アログルーミングをする理由は大きく分けて3つ。
- 愛情表現
- 届かないところをなめてもらう
- ニオイづけ
これらは親和行動による理由です。
では、3つの理由を詳しく説明していきましょう。
愛情表現・信頼関係を築く
親和関係にある猫同士は、互いに「大好きだよ」と表現するためにアログルーミングをします。
親子・兄弟・夫婦関係にある猫以外に、血の繋がりがなくても仲良しの猫であれば同様です。
さらに、飼い主にもアログルーミングをしてくる場合があります。
人間が猫をなめるわけにはいかないので、もし猫がなめてきたらお返しに撫でてあげましょう。
届かないところをなめてもらう
セルフグルーミングで届かない箇所をなめてもらうため、アログルーミングをします。
アログルーミングをしている猫たちを観察すると、頭や首を中心になめているのがわかるでしょう。
また、なめ方にも一応のルールがあります。
毛並みに沿って、頭から首に向かってなめるのが正解。
毛並みに逆らうと怒る猫もいるんですよ。
ニオイづけ
猫は自分の所有物には自分のニオイをつける習性があります。
グルーミング相手は物ではありませんが、「この子と私は仲良しなんだよ」というアピールのためにアログルーミングによるニオイづけをするのです。
お気に入りの場所や飼い主にスリスリするのも同じ。
アログルーミングやスリスリをしてくれたら、飼い主冥利に尽きますね。
アログルーミング中、急に噛むのはなぜ?
ここまで、アログルーミングは親和関係にある猫同士でする行動だと説明してきました。
つまり、仲良しな猫同士です。
しかしアログルーミング中に急に噛んだり喧嘩したりするのを見かけませんか?
ついさっきまでウットリしていたのに…。
実はこれにも理由があるのです。
アログルーミング中、急に噛む理由は主に
- 「もういいよ」の合図
- じゃれ合い
- 優位(序列)の主張
などが考えられます。
では、3つの理由を詳しく説明していきましょう。
「もういいよ」の合図
そもそも猫は気まぐれな動物。
どちらかの気が済むと、それ以上アログルーミングを続けるのは不快の元になります。
Aの猫が「もう辞めていいよ」と思っているのにBの猫がなめ続けていると「もう辞めてってば!」と不機嫌になり、噛んでしまうのです。
しかし本気の喧嘩ではないため、またすぐに仲良くなります。
飼い主が撫でている途中で急に噛んでくる場合も、同様の理由が考えられるでしょう。
じゃれ合い
ただ単にじゃれ合っているだけの可能性もあります。
機嫌が悪いわけではないので本気では噛まず、甘噛みや軽い猫パンチの場合が多いでしょう。
噛み具合を見て互いに甘噛みのようなら、遊んでいるだけなので心配はいりません。
優位(序列)の主張
それまで互いにアログルーミングしていたのに、ふとした瞬間に「こっちのほうが先輩だぞ」と主張して噛んだり手を出したりする場合があります。
これは後から入ってきた猫に対して先にいた猫がよくする行動で、甘噛みや普段仲が悪くなければそこまで神経質になる必要はありません。
アログルーミングを見れば猫同士の関係性がわかる
アログルーミングは基本的に仲良しの猫同士による行動です。
しかしお伝えしたとおり、序列の度合いによっては本来愛情を伝えるアログルーミングでさえストレスとなる場合があります。
無論、敵対関係の猫同士はアログルーミングをしません。
このようにアログルーミングを観察すると、猫同士の関係性が親和・敵対・序列のどれなのかがわかります。
日頃から猫たちの様子や関係性を把握して、どの子もストレスなく暮らせるように気を配ってあげてくださいね。