こんにちは。クボタです。
猫を多頭飼いしてる人はわかると思いますが、猫同士はお互いにペロペロと毛づくろいをし合うことがあります。
自分の体を自分でペロペロと舐めることもあります。
これには一体どういう意味があるのでしょうか?なぜ猫はペロペロしたがるのでしょう?
この記事では猫の毛づくろいの秘密について書きます。
毛づくろい=お風呂
猫の毛づくろいにはいろいろな意味がありますが、人間で言うとお風呂に入る行動に近いです。
そもそも猫はなぜ毛づくろいをするのでしょうか?
体を清潔にする
猫を飼ってる人ならわかると思いますが、猫はほぼ無臭ですよね。
もちろんウンコやオシッコはくさいですが、体臭はほとんどありません。
これは猫が自分で毛づくろいしているおかげです。
ペロペロと舐めることで全身の汚れをきれいに舐め取り、清潔にするのです。
猫の唾液には殺菌作用があり、また舌がザラザラしているため効果的に洗浄殺菌ができます。
猫はとてもきれい好きな生き物であり、自分の寝床やトイレが汚れていたら嫌がります。
動物の中でも猫のウンコは特に臭いと言われてますが、これも毛づくろいが理由です。
全身の汚い物質をきれいに舐め取り飲み込むことで、それがウンコに凝縮されて出てきているのです。
そしてその臭いウンコを砂できれいに隠して一丁上がり、そういう衛生システムを猫は持っているのですね。
猫の舌には「糸状乳頭(しじょうにゅうとう)」と呼ばれる小さな突起がたくさんあります。
ザラザラしたブラシのような舌で舐めて汚れやフケなどを除去し、毛並みを整えているのです。
外で暮らす猫は同じ方法でノミやダニを取り除いています。
また、猫には換毛期と呼ばれる毛が生え変わる時期があり、この時期はたくさんの抜け毛が発生します。
抜け毛を放置すると毛玉になってしまうため、猫は抜け毛も舐めて除去しなくてはいけません。
特に長毛猫や毛量が多い猫は、舐めた抜け毛を飲み込んで胃の中に大量の毛が溜まり、「毛球症」になりやすいです。
毛球症のリスクを回避するためにも、日頃から定期的にブラッシングをしてあげましょう。
匂いを消す
猫はご飯やおやつを食べたあと、口の周りを手で拭くように舐めますよね。
この行動は、食べ物の匂いを消そうとしているのです。
また、嫌いな匂いがついてしまった時にもからだ中を舐めて匂いを消そうとします。
猫は本来、縄張りをもち獲物を狩って生活する動物です。
天敵から身を隠したり、獲物に気づかれたりしないように匂いを消す習性があります。
ペットとして室内で暮らしている猫は、安全で食べ物にも困らない環境にいるため匂いを消す必要はありませんが、本来の習性のなごりと考えられるでしょう。
リラックスのため
猫が高いところに登るのを失敗したり足を踏み外したりしたあと、格好悪いのをごまかすようにペロペロ舐めるのを見た経験はありませんか?
猫はビックリした時やストレスを感じた時、心を落ち着かせるためにからだを舐める習性があります。
猫の舌の表面はザラザラしているため、一生懸命毛づくろいをすることでマッサージの効果があると言われているのです。
毛づくろいをすること自体が猫にとっての癒しになります。
野良猫同士の喧嘩を眺めてると喧嘩を急にやめてペロペロと毛づくろいをしだすことがありますが、これはストレスが極限まで達したために一時休戦して心を落ち着けているのです。
人間も何日間もお風呂に入れないと汚れ以上に精神的にしんどいですよね。
それと同じです。
猫は自分の体を舐めることでホッと一息つくという効果があるのです。
体温調節
毛づくろいをすると毛に唾液が付きますね。
この唾液が蒸発するときに気化熱を奪います。
このことによって体温が下がるのです。
人間も夏は水風呂に入ったり、冬は熱いお風呂に浸かったりして体温調節しますね。
それと同じです。
猫は肉球にしか汗腺がなく、体の表面は汗をかきません。
よって、毛づくろいをすることで体温を調節しているのです。
コミュニケーション
多頭飼いしてる方は猫がお互いに毛づくろいをし合ってるのを見たことがあるでしょう。
これはアログルーミングという行為で、お互いに心を許している猫にしかしない愛情行為です。
人間も温泉や大浴場にはコミュニケーションの機能があったりしますよね。
「お風呂で背中を流す」という行為には単に機能的な意味の他に心の交流のような特別な意味があると思います。
一緒にお風呂に浸かることを「裸の付き合い」と言ったりもしますね。
猫にとってはお互いに毛づくろいをすることが「裸の付き合い」なのです。
猫は本来は単独行動をする生き物であり、あまり他の猫と交流することを好みません。
よってアログルーミングをするということは本当に相手を仲間だと認めているということなのです。
猫が飼い主を舐める理由は?
犬は嬉しい時や「大好き!」と気持ちを伝える時にたくさん舐めるイメージが強いですが、猫の場合はどうなのでしょうか。
犬と比較すると猫が飼い主を舐める行動は少ないですし、舐めてくれない猫もいます。
それだけに、猫が飼い主を舐める時には特別な理由があるのです。
①愛情表現
猫が飼い主を舐めるのは、愛情表現です。
猫は親や兄弟など、互いに信頼している相手に対してグルーミングをします。
飼い主を舐めるのは、家族や仲間として信頼しているからです。
猫は、気を許した相手にしか舐める行動をしないので、猫と良い関係を築けていると考えてよいでしょう。
顔を舐めてきた場合は、最大限の愛情表現です。
とても嬉しいですが、猫の舌はザラザラして顔を舐められると痛いですよね。
舐めるのを回避しつつ愛情を受け入れたいのならば、猫の気を逸らすようにたくさん撫でてあげましょう。
②おねだり・要求
おなかが空いた・遊んでほしい・トイレを掃除してほしいなどの要求をする際にも、飼い主の気を引くために舐める場合があります。
甘えたい気分の時も飼い主の衣服や毛布まで舐めたり、ちゅぱちゅぱ音を立てて吸ったりします。
これは赤ちゃん返りのようなもので、子猫が母猫に愛情を求めるのと同じく、飼い主に対して愛情をおねだりしているのです。
この行動は「ウールサッキング」と呼ばれていますが、衣服や毛布以外にも飼い主の腕や耳たぶなど柔らかい部分を舐めたり吸ったりする場合があります。
③お礼の意思表示
ブラッシングをしてあげたり撫でてあげたりすると、手を舐めてくれる場合があります。
お返しに「ありがとう、今度はあなたの番ね」という感じでしょうか。
この場合も、猫との信頼関係が築けていないと舐めてくれません。
もともと猫は単独行動をする動物ですが、意外にも愛情深い一面があるのですね。
④おいしそうな匂いや味がしたから!?
お菓子を食べたあとの手や口を舐めてくるならば、それはおいしそうな匂いに興味を示したからです。
食べていないのに舐めてきた場合は、汗の匂いを感じ取って塩味や油分を舐めたいからだともいわれています。
ただし、猫の唾液にはさまざまな雑菌がいるので、飼い主の口の周りを舐めさせるのは避けたほうがよいでしょう。
猫はミルクの匂いに強い反応を示すので、特に赤ちゃんや小さな子供がいる家庭は注意が必要です。
猫がお互いに舐める理由は「信頼のあかし」
猫がお互いを舐める行動は「アログルーミング」と呼ばれています。
飼い主を舐めるのと同じく、信頼関係が成り立っていないとアログルーミングをしません。
親や兄弟でなくても、一緒に暮らしていると信頼関係が築きやすく、仲間や家族同然に思うようになります。
一応、アログルーミングにも作法があるらしく、頭や耳や背中など通常のグルーミングでは届かない場所を舐めてもらうようです。
ほかに舐めてほしい場所がある場合は、舐められている猫が自分で体勢を変えて「ここも舐めてね」と位置調整します。
基本的にはメス同士もしくはオスとメスで見られる行動ですが、稀にオス同士でもアログルーミングが見られます。
よほど信頼し合っている証拠なのでしょう。
嫌われた?舐めてる途中で急に噛まれた!
うっとりした顔で舐めていると思ったら、急に噛んできたという経験はありませんか?
「嫌われてしまったのかな」とショックを受ける人も多いですが、心配いりません。
舐めている途中で噛む行動は、愛情表現のひとつです。
手を舐めている最中に飼い主への「好き」「もっとかまって」という感情が溢れてテンションが上がってしまった時にとる行動と考えてよいでしょう。
猫が舐める行動で注意すべきポイント
猫が普段と比べてグルーミングする時間が異常に多い時は、からだに不調を感じていたりストレスが溜まっていたりする可能性があります。
また、舐めすぎるとその場所の毛が禿げたり皮膚炎を起こしてしまうリスクもあるため、注意深く観察しましょう。
反対に、まったくグルーミングをしなくなった場合は、具合が悪いか口内炎や歯の異常が考えられます。
いつもと違うなと感じたら、獣医さんに相談してみましょう。
猫の毛づくろいを邪魔しないように
ここまで見てきたように猫の毛づくろいはとても重要なものですから、邪魔をしたりしてはいけません。
猫が毛を飲み込むと毛玉を嘔吐しやすくなるので、猫が毛づくろいを始めるとやめさせる飼い主さんがいらっしゃいます。
それは駄目です。
毛づくろいは心身の健康にとても良いので、好きなだけさせてあげましょう。
毛玉の嘔吐が気になるならブラッシングの頻度を増やすなどすれば対応可能です。
まとめ
猫の毛づくろいは人間で言うお風呂に入るのと同じような行為です。
お互いに気持ちよさそうにアログルーミングしあっている光景を見るとこちらまで幸せな気持ちになってしまいますね。
毛づくろいは飼い主にとっても癒やしの源でもあるのです。
猫が飼い主やほかの猫を舐めるのは、信頼関係があっての愛情表現であるとお伝えしました。
また、猫はリラックスしている時や心を落ち着かせたい時に舐めます。
つまり、平和な状態でいたいのです。
おおげさかも知れませんが、猫は「ラブ&ピース」を求めて飼い主やほかの猫を舐めているといっても過言ではありません。
飼い主は猫を舐められませんが、猫が舐めてくれたら撫でるなどして、同じだけの愛情を返してあげましょうね。