「イカ耳」という言葉を聞いたことがありますか?
猫の耳が外側に向いてピンとはった状態のことで、イカの形に似ていることが由来しています。
猫は感情表現が豊かな動物で、耳・しっぽの動き・表情・しぐさなどで気持ちを表現しているのです。
では、このイカ耳は一体何が原因なのでしょうか。この記事では、イカ耳の時に猫はどんな気持ちなのか、感情を読み取るためのポイントも一緒にご紹介します。
猫の耳の特徴
まず、猫の耳の特徴を見ていきましょう。音を聞き分ける以外にも、体温調節や平衡感覚、感情表現などの役割もあります。
聴力が優れている
猫の聴力は非常に優れています。もともと猫は野生で狩りをしていたため、獲物となる小動物の鳴き声や小さな足音も聞き逃さないために、また自分の身を守るためにも聴力が発達してきたと考えられます。周囲の様子や自分の置かれた状況を認識するため、自然と備わった能力なのでしょう。
五感の中でも聴覚が一番優れており、人間の聞き取ることのできる最高周波数の限界が2万Hzなのに対し、猫は6万5,000 Hzまで聞き取りできます。
人間とは違い、耳の筋肉が発達しているので、左右別々に細かく動かし、音の出所を探し出すことができます。これが獲物を狙うときや、危険を回避するときに役立っているのです。
耳で感情表現をする
「耳介(じかい)」という耳の筋力が発達していているため、気持ちに連動して自在に動かすことが可能です。アンテナのように、左右の耳をこまかく動かして、音を正確に聞きとります。
また、猫の耳には体温調節する機能もあります。外気に触れる耳には、多くの毛細血管が集まっていて、収縮・拡張をして体温を調節します。
感情や気持ちに連動してさまざまな動きをする部位なので、よくチェックすれば猫の気持ちを汲み取れるようになるでしょう。
猫のイカ耳とは?
猫の耳が外側に向いてピンとはったような状態が、イカのシルエットに似ていることから、猫好きの間でイカ耳と呼ばれるようになりました。
可愛らしい猫の動きの一つではありますが、実は、イカ耳は機嫌が悪い時になりやすいです。猫の心理を細かく見て、イカ耳になる原因や理由を確認しましょう。
猫がイカ耳になる5つの理由
次にイカ耳になる原因を5つご紹介します。
警戒している
原因として第一に考えられるのが、周囲を警戒している状態ということです。
不安や危険を感じて身構えているとき、自分の置かれている状況を把握し、対応するために周囲の情報収集しようと準備しているのです。
耳の後ろ側が正面からしっかり見えて沿っているようであれば、戦闘態勢に入っていて、後ろ側からの情報もしっかりキャッチするために集中しています。もっと近づいてくるなら攻撃するぞ、という状態です。
さらに、ひげが前のめりになって、頭を左右にゆっくり動かす様子が見られるようであれば、警戒心が強い状態なので、うっかり触ろうとすると飼い主であっても威嚇される可能性があります。
猫の気持ちが落ち着くまで、そっとしておいてあげるといいでしょう。
不満がある
何かに対して不満があってイライラしているとき、例えば、構ってもらえない、おやつがもらえない、触られたくないなど、イライラしてストレスを感じると、耳がピンと横向きになります。
猫はマイペースで自由な行動をするものなので、思い通りにならないと不満を表します。
この場合は、猫の表情がムッとしていて不満そうだったり、不機嫌なしぐさをしていたりするので、飼い主は猫の気持ちがわかりやすいでしょう。
特別わがままでないようなら、生活環境などで猫のストレスの原因がないか見直して、不満を解消できるように対処してあげるといいでしょう。
怖がっている
警戒している状態にも似ていますが、イカ耳かつ低姿勢の状態は怖がっていると考えられます。通常のイカ耳よりさらに耳を後ろに引いて、体を小さくしている状態で、大きな音などびっくりした時になりやすいです。また、性格が神経質な猫にもよく見られます。
来客で、インターホンの音が聞こえた時にも、イカ耳になってテーブルの下に隠れる猫もいるかもしれません。怖くてたまらない場合、自分を小さくみせようとして身をかがめます。
耳以外にもしっぽをお腹の下に隠して守っている様子や、しっぽが下がっている様子が見られるようなら不安を感じている状態です。こういった様子は、初めて会う人や動物が自分のテリトリーに入ってきたときに見られることがあります。少しずつ慣れさせてあげるようにしましょう。
怒っている
イカ耳の「イカ」は怒り心頭の「イカ」だともいわれることがあります。怒っていて近づかれたくない状態を表現するときにもイカ耳になります。
猫同士の場合、けんかを始める準備ができていて、相手への威嚇をしながら、いつ攻撃をしてもおかしくないという状態です。
耳以外にも、瞳孔が細くなり、口角を後ろに引いて歯をむき出したり、ひげを横に引き寄せていたり、シャーと鳴くこともあるでしょう。毛が逆立ち、表情にも怒りが表れます。
このような場合も、落ち着くまでそっとしておいてあげるのが1番です。
集中している
猫が何かの音や声に興味を持っている、気になるものに集中して耳を澄ませているため、やや興奮気味でイカ耳になります。
このとき、少し瞳孔が開いている場合もあります。恐怖や怒りとは顔つきや様子も違っているので、飼い主も気づきやすいかもしれません。特に飼い猫に当てはまるでしょう。
警戒しているときとは異なり、機嫌が良いときにイカ耳になることもあります。リラックスしているようであれば、頭が少し下がり気味で目も閉じ気味になるようです。
イカ耳以外もチェック!猫の気持ちを耳から読み取るポイント
猫はイカ耳以外にも、器用に耳を動かして気持ちを表現しています。その他の耳の動きはどのような気持ちなのか見ていきましょう。
まっすぐ立っている
まっすぐに耳がピンと前方に向いて立っているのは、機嫌が良いとき。何かに興味津々だったり、ご機嫌だったり、好きなものの情報を集めているのでしょう。
基本的に気になるものがあれば、猫の耳はその方向へ向きます。耳以外には、目が輝いて、ひげがピクピク動きます。
横に寝かせている
耳が少しだけ外側に向いて横に寝かせた状態のときは、リラックスしている状態です。不機嫌なときの様子と比べて、表情やしぐさから体の力が抜けているのが見てわかるので、違いに気づけるでしょう。
ピクピクと動かしている
耳をピクピク動かすのは、周囲が気になって落ち着かないときです。周囲の音や声を聞いてその出所はどこか探ろうとしている様子です。
自分の身に危険がないか情報収集し、周りの状況に対して神経質になり、不安を感じているかもしれません。不安な要素があれば、取り除いてあげて安心させてあげましょう。
後ろに引いている
恐怖や拒否のサインとして、耳を後ろに引くことがあります。これ以上引けないほど引いているときは、より強い恐怖や拒否の気持ちを表しています。
構ってほしくない場合や、猫同士のケンカで降参の時にもこのような耳になるので、刺激しないようにしましょう。
まとめ
イカ耳とは、猫が耳をピンと横に寝かせるようにした状態のことです。今回は、猫がイカ耳になる原因について、またその感情を読み取るポイントをご紹介しました。
猫の耳は、優れた聴覚で周囲の状況をキャッチし、感情や気持ちに連動してさまざまな動きをします。
行動や表情と一緒に、耳の動きも観察しながら接してみると、猫の気持ちがより理解できるようになるかもしれません。
一緒に過ごす猫が出すサインを読み取って、より距離を近づけてみてくださいね。