猫が毛づくろいをする姿はよく目にすることでしょう。
猫にとって毛づくろいは、生きていく上で大切な行為であり、日常です。通常は健康的な動作ですが、稀に病気やけがの発見につながることもあります。
そこで当記事では、猫の毛づくろいに関する情報をまとめてみました。
自身を噛んでしまう毛づくろいや過剰な毛づくろいには、特に注意が必要です。それぞれの行為の原因や対策についても解説しますので、猫との生活がより良いものになるよう、ぜひ最後までお読みください。
猫が毛づくろいをする理由
猫は頻繁に毛づくろいをします。その頻度はかなり高く、起きている時間の約30~50%を毛づくろいの時間に充てているようです。何気なく行っているようにも見えますが、猫が毛づくろいを行うのには様々な理由があります。
汚れやにおいを取るため
猫の毛づくろいでは、汚れやにおいを取ることが出来ます。
猫は本来、自分で獲物を捕まえて食べる捕食動物なので、食事で汚れた顔や前肢を毛づくろいすることで、獲物を食べたにおいを消しています。食後に毛づくろいする猫が多いのはそのためです。
さらに、猫の体には「感覚毛」がありますので、毛づくろいで綺麗にすることで危険を察知することができます。ノミやダニの予防もできるので、病気のリスク軽減にもつながるでしょう。
毛並みを整えるため
猫は、季節の変わり目に毛が生え変わる「換毛期」が訪れます。換毛期はたくさんの毛が抜けるので、猫の柔らかい毛が絡まらないよう、毛づくろいをして毛並みを整えなくてはなりません。
猫に舐められたことのある方はご存じでしょうが、猫の舌はザラザラしているのが特徴です。実は猫の舌には、「糸状乳頭(しじょうにゅうとう)」と呼ばれる無数の突起があり、ブラシの役割を担っています。
ザラザラの舌を使って毛を舐めることで、毛のもつれを防いでいるのです。
体温をコントロールするため
毛づくろいには体温調節の役割もあります。
汗をかいて体温を下げる人間と異なり、猫は汗で体温調節することが出来ません。そのかわり、毛づくろいで体温調節をしています。
夏は唾液で濡らして蒸発させることで体温を下げ、冬は毛の間に空気を含ませて熱を逃がさないようにしています。
しかし中には、毛づくろいが苦手な猫もいますので、そのような場合は熱中症に注意してあげましょう。
コミュニケーションを取るため
毛づくろいは、猫同士のコミュニケーションでも重要です。
猫同士の毛づくろいは親和行動の一種で、「アログルーミング」とも呼ばれています。自分では舐めにくい顔や首周りを舐めあうことで、信頼関係を築いているのです。
猫が毛づくろいで噛む理由
猫は、毛づくろい中に自分の体を噛んでしまうことがあります。
綺麗好きであるがゆえに行うことが多いのですが、時には受診が必要なケースもあるため注意が必要です。
猫が毛づくろい中に噛んでしまう代表的な理由を紹介します。
かゆいから
毛づくろいで噛んでしまう理由の1つがかゆみです。
猫は毎日お風呂に入るわけではありません。そのため、体や肉球がかゆくなることがあります。お風呂の代わりに毛づくろいをしていますが、中々かゆみが取れずに噛んでしまうのです。
ただし、頻繁に噛んでいるようなら皮膚炎の可能性もあるので、一度皮膚の状態を確認すると良いでしょう。
汚れているから
2つ目の理由は、汚れていると感じているからです。
猫は綺麗好きなので、少しでも汚れたと感じたら毛づくろいを行います。綺麗にしたいと思うあまり、ついつい噛んでしまうこともあるでしょう。
猫の唾液には殺菌効果があるため、毛づくろいで体や肉球に唾液をつけて清潔を保っています。
また、毛がもつれて毛玉になってしまいそうな時も、噛んで毛を整えているのです。
虫がいるから
猫が毛づくろいで噛んでしまうのは寄生虫が原因ということも。
猫の体にノミやダニが付着・吸血すると、皮膚炎を発症してかゆみを引き起こします。同じ場所を毛づくろいして噛んでいる時は、一度皮膚の状態を確認してください。
寄生虫を放置しても症状は改善しませんので、早期に対策しましょう。
ストレスが溜まっているから
子猫は、母猫に毛づくろいしてもらうことでリラックスします。そのため、ストレスを感じた時に毛づくろいを行う猫が多いのです。
物音が大きかったり、自身の寝床に他のにおいがついていたりすると、猫はストレスを感じてしまうので、環境を見直してあげましょう。
匂いをとっているから
毛づくろいで噛んでしまうのは、においを取っているからかもしれません。
猫は縄張りを大切にするので、自分の縄張りに他のにおいがつくことを嫌います。知らない場所や人に触れると、自分の皮膚や肉球にいつもと違うにおいがつくため、噛んでにおいを取る自分の皮膚や肉球にいつもと違うにおいがつくため、噛んでにおいを取ることがあるのです。
猫が過剰に毛づくろいをしている時の対策
猫にとって毛づくろいは必要不可欠ですが、過剰に行うと、脱毛や皮膚炎を起こす危険性があります。見ていて心配になることもあるでしょう。しかし安易に声をかけてしまうと、「過剰な毛づくろい=構ってもらえる」と学習してしまうので注意が必要です。
もし過剰な毛づくろいを見つけたら、以下のような方法を試してみましょう。
病院へ
「毛づくろいが過剰だ、おかしい」と感じたらとりあえず病院に連れて行く方法が確実です。動物病院ではペットの異常行動やメンタルヘルスも診断してくれます。
異常行動には病気が隠れていることもあるのです。
通常は体を満遍なく毛づくろいしますが、同じ場所ばかり行っている時は、病気やけがの可能性もあります。
猫の病気はノミやダニによる皮膚炎が一般的ですが、それだけではありません。下腹部を中心に舐めているなら膀胱炎の可能性を、背骨・肩・膝・足先を中心に舐めているのなら関節炎が疑われます。
飼育環境のチェック
家に猫のストレスにつながるものがないかチェックしましょう。
猫は毛づくろいを行うことで、気持ちを落ち着かせようとします。特に、大きな物音や縄張りを荒らされることに関して強いストレスを感じますので、過剰な毛づくろいを見つけたら、飼育環境を見直すことが重要です。
安心できる寝床や隠れ場所を作ってあげてください。
エリザベスカラーを装着する
舐め回しがひどいと出血や細菌感染を伴います。そういった非常事態には、エリザベスカラーを検討しましょう。
しかし、カラーの装着は猫にとって大きなストレスです。あくまでも、けがや病気を治すために一時的に使用するものだと考えてください。
もし、病院で処方されたカラーが合わないと感じたら、市販の柔らかいものを探しましょう。
市販品でも傷を舐めない機能があれば構いません。少しでもストレスのかからないカラーを探してあげましょう。
SNSなどで流行っているカップ麺の容器をエリザベスカラーとして使う方法はあまり推奨されません。カップ麺の容器は耐久性が無く、すぐに破れて誤飲の原因となるからです。エリザベスカラーは猫ちゃんが病気のときにはよく使われ、市販もされているので、事前に購入してストックしておきましょう。
まとめ
今回は、猫の毛づくろいについて解説しました。
猫にとって毛づくろいは、生きていく上で必要な行為です。短時間で簡単に終えてしまう猫も10分以上念入りに行う猫もいるため、かける時間は猫それぞれで異なります。一概に正解がないからこそ、一番近くで見ている飼い主さんの気づきによって、病気の早期発見につながることがあるのです。
もし、「普段と違うな…、おかしいな…」と感じたら、必要に応じて受診してください。
適度なコミュニケーションを取りながら、猫とのよりよい暮らしを楽しみましょう。