ビニール袋をしきりになめる愛猫を見て、「なぜ?」と不思議に思ったことはありませんか?そのままなめさせておいていいのか、危険性も気になりますよね。
猫がビニール袋をなめたがるのには、いくつかの理由があります。この記事では、猫がビニール袋をなめる理由や危険性、対策方法について詳しく解説します。理由を理解して、愛猫がいつまでも健康でいられるよう適切な対策を取りましょう。
猫がビニール袋をなめる理由
ではさっそく、猫がビニール袋をなめる理由を3パターン紹介します。
猫の習性
猫には、気になるものを口に入れる習性があります。まずはニオイを嗅いで、害がなさそうであれば口に入れて食べられるかどうかを確認しているのです。
少し触れただけで形を変え、少しの風で動き回るビニール袋に、狩猟本能をくすぐられているのでは、という説もあります。ビニール袋はカシャカシャと音が鳴り、触ればフワっと形が変わります。そんなビニール袋に猫は興味津々。追いかけたりなめたり噛みちぎったりと、ビニール袋に執着してしまうのです。ビニール袋の音がしただけで走り寄ってくる猫もいるでしょう。
ビニール袋の味や匂いを気に入っている
レジ袋などをなめている場合、入っていた食材の匂いがビニール袋に移って、その匂いを気に入っている可能性があります。キッチンでラップなど食品に接していたものをなめている場合は、おいしそうだからと口に入れている可能性が高いです。
または、つるつるすべすべとしたビニール袋の感触や、ガシャガシャと嚙むときの感触を猫が気に入ってしまったのかもしれません。
病気にかかっている
一番注意するべきは、病気の可能性があるということです。毛玉など消化できないものを吐き出すために草を食べ、吐き出すという行動を取る猫がいますが、ビニール袋の場合は別問題です。
猫は、消化器系に異常がある場合や寄生虫が住み着いてしまっている場合は、不快感を解消しようと色々なものを飲み込んでしまいます。
病気による不快感を解消するために食べ物以外を食べる行動は異食行動といって、病気のほかにも遺伝、栄養失調の可能性があります。
また、ウールサッキングといって、レジ袋などのビニールや布、段ボールなどをしゃぶったりかじったりする行動を取る「常同障害」を患っている可能性があります。
常同障害とは、何らかの葛藤やストレス、興奮するような状況になると強く決まった行動を取り続ける行動障害のことです。ウールサッキングによって、しゃぶっているビニール袋を誤飲してしまうことがありますので注意が必要です。
猫がビニール袋をなめる危険性
猫がビニール袋をなめることによる一番の危険は、誤飲の可能性があるということです。
ビニール袋をなめているだけなら左程心配いりませんが、なめているだけだからとそのまま目を離すととても危険です。遊んで噛みちぎったビニール袋の破片や小さく丸まったビニール袋を誤って飲み込んでしまう場合があります。
ビニール袋を飲み込んでしまうと、胃の中にとどまって胃炎を起こしたり、小腸で詰まって腸閉塞を起こしたりします。
愛猫の元気がなくなった、嘔吐をした、食欲がないという場合には、誤飲の可能性も疑って動物病院で診てもらいましょう。ごく少量のビニール袋であれば、排せつ物に混ざって体外に出ることがあります。便は健康のバロメーターです。日々愛猫の便をチェックする習慣をつけるとよいでしょう。
誤飲は猫の事故の中でも多い事故の一つです。自分の愛猫にも起こりえる事故として、誤飲しないように対策や注意をしておきましょう。
また、ビニール袋で遊んでいると、手足に袋の持ち手が絡まって取れなくなり、パニック状態で家具などにぶつかるとケガをする可能性もあります。
ビニール袋の誤飲を予防する方法
では、ビニール袋の誤飲を防止するにはどうすればよいのでしょうか。対策を紹介します。
猫が届く場所に置かない
猫がビニールをなめる・噛むという行動に出る前に、まずは触らせないようにしておくとよいでしょう。猫が手の届くところにビニール袋を放置してしまうと、飼い主が気付かないうちに遊びだしてしまうかもしれません。ビニールごみは必ずゴミ箱に捨てる、蓋つきのゴミ箱を使うなどの対策が有効です。商品を包んでいたビニール袋などは放置せず、すぐに片付けるかゴミ箱に入れ、猫の手が届かないようにしておきましょう。
猫と遊ぶ時間を増やす
猫は、飼い主とのコミュニケーション不足でストレスが溜まることがあります。ストレス解消のため、ビニール袋をなめたり遊んだりしている可能性が否定できません。なるべく愛猫との時間を作って、甘えてきたときには一緒に遊んであげましょう。
動物病院での定期検診を欠かさない
ビニール袋対策だけでなく、愛猫の健康を守るために動物病院で定期検診を受けるのがおすすめです。
異食行動を起こす猫が心配なのは、「病気のせいではないか」ということです。異食行動の裏側には、胃腸障害や寄生虫感染などの病気が隠れていることがあります。また、常同障害の可能性もあります。
定期検診を受けていれば、何か愛猫に異常がある場合に早い段階で気付くことができるでしょう。
猫がビニール袋を飲み込んでしまった場合の対処
対策を講じていても、思いもしないことがきっかけで猫がビニールを手に取って遊び、なめたり噛んだりすることは珍しいことではありません。
そして、万が一ビニール袋を誤飲してしまった場合は、すぐに動物病院へ連絡しましょう。何度も嘔吐を繰り返す、食欲がない、元気がない、おなかを触るとひどく怒るなど、明らかに様子がおかしい場合は、急いで受診をしてください。
ビニールを誤飲しても元気な場合には、様子を見ようと動物病院へ行くのを先送りしてしまう飼い主さんが多くいますが、早めに受診しておく方が安心です。猫が元気に走り回っていても、その時に症状が出ていないだけで、胃や腸にひっかかったときに急に症状が現れる場合があります。特にヒモ状の細長いビニールには要注意です。ヒモが腸に絡まると「腸重積(ちょうじゅうせき)」という重篤な病気にかかるリスクがあります。誤飲をしたとわかっていたら、動物病院を受診しましょう。
愛猫が誤飲してしまうと、飼い主さんは一刻でも早く吐き出させようと焦ってしまうかもしれません。しかし、自分で吐き出させようと、猫を捕まえて口の中に手を入れたりするのはやめましょう。捕まえるときに暴れて猫も飼い主さんもケガをする、噛まれるなどのリスクがあります。
動物病院では、誤飲してしまった猫に基本的にはレントゲン検査、場合によってはエコー検査を行います。異物が確認出来たら、お薬を使って吐かせますが、吐かせるのが難しい場合には内視鏡や開腹の手術となります。
まとめ
猫がビニールをなめる理由はさまざまですが、ビニール袋に執着してしまうのは猫の習性とも考えられます。まずは猫の手が届くところにビニール袋を放置しないようにしましょう。
病気が原因でビニール袋をなめる、食べるなどしている可能性も否定できないので、飼い主の知識として知っておきましょう。万が一誤飲してしまった場合には、胃炎や腸閉塞になる可能性があり危険です。動物病院を受診することをおすすめします。
他人事と思わずに対策をして、愛猫の安全や健康を守りましょう。