マンチカンといえば、短い足でヨチヨチと歩く可愛い見た目が印象的ですよね。
「猫を飼うなら短足の子がいい!」と思っている人も多いのではないでしょうか。
マンチカンがどのような猫なのか、リスクや注意点も含めて知識をしっかりと身につけましょう。
この記事では、マンチカンをはじめとする短足猫の歴史や特徴と、短足猫の種類を紹介します。
短足猫を飼いたいと考えている人は、ぜひ読んでみてください。
そもそもなぜ短足なの?
マンチカンは短足のイメージが強いですが、実は足長のマンチカンのほうが多く存在しています。
足長といっても、ほかの一般的な猫よりは若干短めです。
なぜ短足のマンチカンが誕生したのでしょうか。マンチカンの歴史を振り返ってみましょう。
マンチカンの歴史
マンチカンはほかの猫種と比べて歴史が浅く、1983年にアメリカのルイジアナ州で発見された猫が品種登録の起源といわれています。
「ブラックベリー」と名付けられたその猫は、突然変異によって自然発生した短足猫であり、ブラックベリーが産んだ子猫の半数もまた短足だったそうです。
その後ブリーダーによる育種が始まり、1995年に国際的な猫の血統登録団体であるTICA(ザ・インターナショナル・キャット・アソシエーション)が新種と認定しました。
マンチカンの名前は、英語で「小さい」という意味の「Munchkin(マンチキン)」が由来です。
短足は遺伝的変異?
マンチカンの短足は、顕性遺伝子により出現します。
犬のダックスフントやウェルシュ・コーギーなどの短足種と同じ「骨軟骨異形成」という遺伝子疾患を抱えていますが、犬に多い脊椎の障害はあまり見られないようです。
見た目の可愛さから人気が高まり積極的に繁殖がすすむ一方、骨や関節の疾患を懸念する意見も多く、現在に至るまで大きな論争が繰り広げられています。
現時点(2021年現在)でマンチカンを猫種として正式に認めているのは、国際的な猫団体ではTICAのみです。
また「ACC(アジアキャットクラブ)」でも、マンチカンが猫種として登録されています。
ACCは国際的な猫団体ではありませんが、日本国内ではもっとも大きく信頼できる猫登録団体です。
ただし、TICAでは短足マンチカン同士およびマンチカンとほかの純血種の交配は認めておらず、その猫同士から産まれた子猫は猫種として公認されません。
純血種に多い遺伝子疾患の危険を回避するためであり、短足と足長マンチカンの交配もしくは雑種との交配のみ認められています。
短足猫の代表「マンチカン」ってどんな猫?
実際にマンチカンを飼う場合、どのような点に気をつければよいでしょうか。
前項で説明したとおり、マンチカンはほかの猫種にはない身体的特徴を持っています。
性格や特徴、注意点をよく理解してからお迎えしましょう。
マンチカンの性格
マンチカンは基本的に穏やかな性格で、ほかの動物とも比較的仲良く生活できます。
好奇心旺盛でよく遊び、人懐っこいため飼いやすい猫種です。
短足とはいえ筋肉が発達しており、高いところもジャンプして登れます。
ただしほかの猫よりジャンプ力がやや劣るため、低めのキャットタワーを選んであげましょう。
短足のため、おしりを振るようにヨチヨチ、ポテポテと歩く姿が可愛らしいです。
短足マンチカンを飼う上で、もっとも魅力的な癒やしポイントでしょう。
マンチカンを飼うときの注意点
どの猫も肥満は回避すべきですが、マンチカンは特に注意が必要です。
マンチカンの場合、肥満になってしまうと短い足で体重を支えなければなりません。
足に負担をかけないためにしっかり食事管理をして、適度な運動をさせてあげましょう。
また、毛球症を予防するためブラッシングも大切になります。
短毛は1日1回、長毛は1日2回のブラッシングが理想的です。
マンチカン以外の短足猫7種
マンチカン以外の短足猫は、すべてマンチカンとのハイブリッド種です。
唯一、マンチカンを品種として公認しているTICAではほかの純血種との交配は認めていませんが、ミヌエットだけは公認されています。
ミヌエット以外の短足ハイブリッド猫は、TICAでもまだ研究(実験登録種)段階です。
では、マンチカン以外の短足猫を7種紹介していきましょう。
①ミヌエット
マンチカン×ペルシャ系の猫から誕生した猫が「ミヌエット」です。
ペルシャ系の猫とは、ペルシャ・ヒマラヤン・エキゾチックショートヘアなどを指します。
ミヌエットは足が短く体高が低いため、身長が低いとされたフランス皇帝ナポレオン・ボナパルトにちなみ、以前は「ナポレオン」と呼ばれていました。
しかし、ナポレオンは誰もが知る歴史上の人物です。
反対の声などもあり、2015年に「ミヌエット」と名称変更されました。
体格は割とがっしりしていて、ふわふわの長い被毛が特徴です。
毛色や柄はさまざまで、長毛だけでなく短毛も存在します。
性格は甘えん坊で好奇心旺盛な反面、猫らしく気分屋な一面もあるため、猫好きの人からの人気が高い猫種です。
②ジェネッタ
ジェネッタは、マンチカンとベンガルやサバンナキャットを交配させて作出された猫です。改良の過程ではオリエンタルショートヘアも加わっています。
もともとは、アフリカンジェネット(アフリカジャコウネコ)に似た猫を飼いたいという愛好家のために作出が始まりました。
ジェネッタの特徴は短い足に長い胴と長いしっぽ、ヒョウ柄に似たワイルドな模様です。
鼻先はシュッとしており、短足でありながらかっこよさも兼ね備えています。
運動神経が良く、性格は友好的ですが警戒心が強い一面もあるようです。
③スコマンチ
スコマンチは、マンチカン×スコティッシュフォールドの交配で誕生した猫です。
猫の人気ランキングでトップの猫種の組み合わせですので、その可愛さは絶大な人気を誇ります。
しかし、短足と垂れ耳の遺伝的変異を持つ猫同士のためリスクの大きさが懸念・指摘されており、交配の禁止を訴える声も少なくありません。
④キンカロー
キンカローは、マンチカン×アメリカンカールの交配で誕生した猫です。
短足にカールした耳、シルクのような柔らかい被毛の特徴が出ています。
性格は活発で甘えん坊。とても賢く、きちんと教えれば芸も覚えます。
キンカローの名前は、縮んだという意味の「kinky(キンキ−)」と短い足という意味の「low legs(ローレッグス)」を合成して作られました。
「マンチカール」と呼ばれる場合もあるようです。
⑤スクーカム
スクーカム(スクークム)は、マンチカン×ラパーマの交配で誕生した猫です。
マンチカンの短足と、ラパーマのカールした被毛の特徴が出ています。
あまり鳴かない猫として知られており、性格も温厚で人懐っこいため飼いやすい猫です。
ただし日本ではまだ珍しく、あまり流通していません。
⑥ラムキン
ラムキンは、マンチカン×セルカークレックスの交配で誕生した猫です。
短足で、羊毛に似たふわふわの巻き毛という特徴があります。
とても小柄な猫ですが意外とがっしりした体格をしているため、華奢な印象はありません。
性格は活発ながらも温厚で、飼いやすいでしょう。
しかしラムキンも日本では珍しい猫であり、あまり流通していません。
⑦バンビーノ
バンビーノは、マンチカン×スフィンクスの交配で誕生した猫です。
短足と無毛種の掛け合わせで見た目が赤ちゃんに似ているため、イタリア語で赤ちゃんという意味の「バンビーノ」と名付けられました。
活発で社交的な性格が多いようです。
マンチカン×スフィンクスに加えてデボン・レックス、バーミーズ、シャムが追加で交配された「ミンスキン」と呼ばれる種類もいます。
ミンスキンは部分的に被毛が生えており、無毛のバンビーノとはまた違った印象です。
短足猫には可愛さと癒やしの要素がいっぱい!
短足猫は見た目の可愛さで人気が高まり、現在でもさまざまな新種の作出が研究されています。
足が短いからこそできる「マンチ立ち」や、届かない猫パンチなどの可愛い仕草が見られるのは、短足猫を飼う上での醍醐味といえるでしょう。
短足猫には、可愛さと癒やしの要素がたくさん詰まっています。
しかし、遺伝的変異によって短足になってしまったのも事実です。
可愛い短足猫たちが寿命まで健やかに暮らせるように、しっかりと日々のケアをしてあげましょう。