みなさんこんにちは。クボタです。
みなさんは猫を飼うとき、どんな子を迎え入れたいですか?
やっぱり甘えん坊で、性格が良くて、飼いやすい子がいいですよね。
よく猫の品種と性格には関係があると言われますが、これには科学的な根拠はあるのでしょうか?
今回は猫の品種と性格の関係について書いてみたいと思います。
猫の品種と性格との関係には科学的根拠がある
猫の品種と性格に関して書かれた論文がScientific Reportsにありました。
Salonen, M., Vapalahti, K., Tiira, K. et al. Breed differences of heritable behaviour traits in cats. Sci Rep 9, 7949 (2019)
フィンランドの科学者が2019年に出した論文だそうです。
この研究では40種類5726匹の猫の行動パターンを分析し、品種ごとに違いがあるかどうかを調べたそうです。
その結果、品種が異なると行動パターンも有意に異なるということがわかったそうです。
例えば、ラグドールは内気な性格で、見知らぬ人や見慣れない物に対して拒否感を示したそうです。
一方、メインクーンも見知らぬ人に対しては拒否感を示しましたが、飼い主や、他の猫が相手のときは活発な動きを示したそうです。
この研究ではメインクーン、ラグドール、ターキッシュバンの行動の違いが特に細かく調べられているようなのですが、いずれにしても品種ごとに性格の遺伝子に一定の傾向が認められるというのが真実のようです。
そもそも猫の品種とは何か?
あまり猫に詳しくない人と話すと、猫の品種と毛色の区別がついていないケースがよくあります。
三毛猫、キジトラ、茶トラ……、これらは猫の品種ではありません。
では、猫の品種とは一体何なのでしょうか。
ウィキペディアで「品種」という項目を調べるとこのように書かれていました。
種の中で、他の個体と区別できる、人為的に選抜された形質などの特徴が安定しており、それにより他と区別できる、もしくは産業上区別する意味の認められる個体群
つまり、生物学上の「種」とは異なる概念ということですね。
人間で言えば「種」とは「ホモ・サピエンス」のことです。
このときコーカソイドとかネグロイドとかモンゴロイドとかいうのが人間における品種(人種)ということになります。
猫でいえば今世界中で飼われているいわゆる「イエネコ」は、生物学的には「ヨーロッパヤマネコ」という種になります。イエネコはヨーロッパヤマネコの亜種です。
そのヨーロッパヤマネコの亜種であるイエネコが、さらに「アメリカンショートヘア」とか「ロシアンブルー」とかいう品種に別れるんですね。
種や亜種と品種の違いは、種や亜種が生物分類学上の区分なのに対して、品種は人間が経済的に利用することにおいて便宜上区別するための定義です。
ちなみに上で書いた三毛猫、キジトラ、茶トラというのは品種ではなく毛の色です。
つまり、同じアメリカンショートヘアという品種の中に三毛のアメショーもキジトラのアメショーも茶トラのアメショーもいるというイメージになります。
猫30種の品種と性格一覧
前置きが長くなりましたが、以下に猫の品種30種類と性格の関係を書いていきます(上の論文とは関係なく、クボタが独自に調査したものです)どうぞ御覧ください。
アビシニアン
Martin Bahmann [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons
エチオピアが原産の自然発生種。好奇心が強くて甘えん坊。社交性が高く人懐こい。他の猫や人間の子どもとも仲良く出来る。あまり鳴かない。
アメリカンショートヘア
アメリカ原産の自然発生種。陽気で社交的。犬や他の猫、小動物、人間の子どもなど、他の動物とも別け隔てなく仲良くなれる。比較的飼いやすい。抱っこが嫌い。狩りが非常に得意。ネズミ捕りなどにも向く。
エキゾチックショートヘア
Charlyn Wee [CC BY 2.0], via Wikimedia Commons
アメリカ原産の交配種。ペルシャ猫とアメリカンショートヘアを交配して作られました。ペルシャ猫のおっとりした性格を受け継ぎながらもアメリカンショートヘアの活発さも受け継ぎ、猫じゃらしなどで遊ぶのが好きです。陽気で他の動物とも上手く付き合っていけます。
エジプシャンマウ
liz west from Boxborough, MA [CC BY 2.0], via Wikimedia Commons
エジプト原産の自然発生種。野性的な外見をしてますがそれに反してとてもおとなしい性格です。繊細で感受性が高く怖がり。人見知りが激しいですが家族に対してはとても甘えん坊で愛情深いです。狩りは得意で遊ぶのも好きです。身体能力が高い。
オシキャット
アメリカ原産の交配種。アビシニアン、シャム、アメリカンショートヘアを交雑して産まれた品種です。凶悪でワイルドな見た目をしていますが性格は非常に甘えん坊で人が好きです。また非常に知能が高いのも特徴。個体差はありますが、投げたものを取ってきたり、おすわり程度の芸ならば覚える子もいます。
オリエンタルショートヘア
イギリス原産の交配種。シャムを品種改良して作られました。こちらの品種も非常に人好きで甘えん坊。人見知りはあまりせず誰にでも懐きます。とにかくかまってほしがりで人間がやってることを邪魔したり会話に割り込んできたり。他の動物や子どもとも仲良くすることができます。
キムリック
Heikki Siltala [CC BY 3.0], via Wikimedia Commons
カナダ原産の突然変異種です。用心深くおっとりおとなしい性格です。人見知りで飼い主以外にはあまり懐きません。ただ知能は高く、飼い主の言うことは理解して言うことを聞きます。子どもや他のペットとの相性はよくありません。単頭飼いに向いてるでしょう。
コーニッシュレックス
Paul Lewis [CC BY 2.0], via Wikimedia Commons
イギリス原産の突然変異種です。甘えん坊で人懐こく飼いやすいです。ただし多少神経質な面がありますので、多頭飼いは避けたほうが無難です。人間の子どもとも相性が悪いです。かまってほしがりの性格なので在宅の作業などしていると邪魔してくることが多いです。
コラット
タイ原産の自然発生種です。社交的で人懐っこい性格。他の動物や子どもとの相性も良いです。ただ、マウント意識が強く、他の動物や子どもに対して自分のほうが上位であると誇示したがる傾向にあります。比較的良く鳴く品種です。警戒するときもワーオワーオと大きな声で鳴き、飼い主に対しても積極的に話しかけようとします。
サイベリアン
Serguei S. Dukachev [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons
ロシア原産の自然発生種です。温厚で親しみやすい。知能が高く、従順で、飼い主に対する忠誠心が高いです。ただし、他の猫や動物とはあまり相性がよくありません。単頭飼いがおすすめです。水を怖がらないためお風呂に入れるのが楽。ハンティングも得意です。
ジャパニーズボブテイル
Chris 73 [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons
日本原産の自然発生種です。「猫はコタツで丸くなる」という言葉の通り、昔ながらの日本の猫のイメージそのままの性格。クールでツンデレなので甘えるのは控えめ。でも優しい性格。穏やかで社交的で、他の動物や子どもともすぐ仲良くなる。多頭飼いにおすすめです。比較的よく喋る。
シャム
Karin Langner-Bahmann, upload von Martin Bahmann [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons
タイ原産の自然発生種です。女王のように気高い性格。一般的に良く言われる「お猫様」を体現したような性格です。人を選び、心を許した人にしか決して忠誠心を示しません。いったん懐くと甘えてきますが、やはり「お猫様」ならではの自己中心性も見せます。お猫様に下僕のように扱われたい……というマゾ飼い主におすすめです。
シャルトリュー
フランス原産の自然発生種です。忍耐力が強く我慢強い性格です。病気の辛さなども我慢してしまうためパッと見てわかりにくいです。猫を飼うのが初めての方には向いてないかもしれません。甘えん坊で人懐こいですが、嫉妬もしないため、多頭飼いには向いています。
シンガプーラ
The original uploader was Squeezeweasel at English Wikipedia. [CC BY-SA 2.0], via Wikimedia Commons
シンガポール原産の自然発生種です。非常に甘えん坊で人が好き。飼い主さんの行くところにずっと付いてきて、飼い主さんのやることなすことに興味を示し、遊んでもらいたがる。そんな品種です。嫉妬深く、自分をいちばん可愛がってもらいたい欲求が強いため、多頭飼いできないことはないですが、気を使う必要があるかと思います。
スコティッシュフォールド
イギリス原産の突然変異種。おっとりと大人しく、穏やかな性格。あまり鳴きません。でも人が好きで甘えん坊。活動量はそんなに高くありませんのであまり高いキャットタワーなどは必要ありません。むしろ人から猫じゃらしなどで遊んでもらうのを好みます。多頭飼いや人間の子どもともすぐに仲良くなれる社交的な性格です。
スフィンクス
M.Minderhoud at Dutch Wikipedia [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons
カナダ原産の突然変異種です。性格は陽気で活発、人懐っこく、人間からかまってもらいたがります。在宅のお仕事の場合は邪魔ばっかりされるかもしれません。人見知りはほとんど無く、初めて合った人間にも懐きます。多頭飼いや人間の子どもともすぐに仲良くなれます。比較的飼いやすい種類かと思います。
ソマリ
イギリス原産の突然変異種。アビシニアンの長毛種です。長毛種の猫はクールで気高い性格であることが多いですが、ソマリはアビシニアンの性格を受け継ぎ、人懐こくまるで犬のような性格をしています。知能が高く、人間とのコミュニケーションも取りやすく、しつけしやすい。飼いやすい品種です。
ターキッシュバン
Effervescing Elephant [CC BY-SA 2.0], via Wikimedia Commons
トルコ原産の自然発生種。猫は本来は水を嫌う生き物ですが、このターキッシュバンは猫なのに水を好むという非常に珍しい希少種です。原産地であるトルコでは池で泳いだりもするとか。お風呂に入れるのが楽なので初心者向きかもしれません。ただ、日本では扱ってるブリーダーが少ないので手に入れるのが大変かも。
ノルウェージャンフォレストキャット
ノルウェー原産の自然発生種。知能が高く、運動神経も良い。活発で社交的。甘えん坊で、先住猫がいる場合は甘えるために頻繁にひっつきたがる。クールで内向的な品種が相手だとウザがられてしまうかも。もともとはノルウェーの森の中を走り回っていた品種なので運動量が多い。高いキャットタワーが必要。
バーマン
D.Maillard [CC BY-SA 2.5], via Wikimedia Commons
ミャンマー原産の自然発生種。落ち着いていて優しく、甘えん坊です。他の動物や人間の子どもとも上手くコミュニケーションが取れるので多頭飼いにおすすめです。かまってもらいたがりのため、家での作業や家事などを邪魔してくることが多いです。
ヒマラヤン
Vladimir Menkov [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons
イギリス原産の交配種。ペルシャとシャムの交配によって作られました。ペルシャの温和な性格を受け継いでいます。おっとりしていてわがままを言わない、飼いやすい品種です。活動量もそんなに多くありませんので、あまり高いキャットタワーなどは必要ありません。多頭飼いにも向いています。
ブリティッシュショートヘア
Nicole-Koehler [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons
イギリス原産の自然発生種。従順で大人しく我慢強い。自立心が強いため留守番が得意です。一人暮らしの方が単頭飼いするのに向いています。基本的に人懐こく甘えん坊ですが、あまりスキンシップは好まない。抱っこなどは嫌う性質があります。付かず離れずの適度な距離感を取りたがる性格です。
ペルシャ
Andrey [CC BY 2.0], via Wikimedia Commons
イラン原産の自然発生種。非常に温和でおっとりした性格です。あまり鳴かず、わがままを言ったりもしないので飼いやすい品種です。活動量も少なく、運動会などもあまりしないので集合住宅で飼うのに向いてるかもしれません。反面、ドライな性格なので子どもや他の猫と一緒に遊ぶのは嫌がります。
ベンガル
CATCREST [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons
アメリカ原産の交配種です。イエネコとベンガルヤマネコとの交配によって作られました。野性的な外見をしてますが、性格はおっとりして温厚。運動が大好きで狩りも得意です。猫じゃらしなどで頻繁に遊んであげる必要があるでしょう。キャットタワーなども高いものを用意する必要があります。
マンチカン
Sg0668commons [CC BY 3.0], via Wikimedia Commons
イギリス原産の突然変異種です。陽気で人懐こく、遊び好き。社交的なので他の動物や人間の子どもとも上手に接します。好奇心が旺盛なので家の中をいろいろと探検したがります。危ないことをしないように家の中を工夫する必要があるでしょう。知能が高く、聞き分けも良いので留守番も得意です。
メインクーン
Barry Wom [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons
アメリカ原産の自然発生種です。非常に知能が高いことで有名で、投げたものを取ってくる程度の簡単な芸なら覚えてしまうこともあります。体が大きいですが器用で身体能力も高いです。優しく社交的なので他の動物や人間の子どもともすぐに仲良くなれるでしょう。
ラガマフィン
“Iris Preyler-Hamertinger” [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons
アメリカ原産の交配種です。ラグドールを元にして作られました。非常に素直で人懐っこい。ラグドールと同じく抱っこが好き。一方で非常に遊びが好きで猫じゃらしなどでじゃらされるのを好む。穏やかで優しい性格。社交的で、先住猫や人間の子どもに自分から甘えてすり寄っていく面があります。
ラグドール
アメリカ原産の交配種です。ペルシャとバーミーズを交配して作られました。非常におっとりして穏やか、抱っこしても嫌がりません。「ドール」と付いているのはぬいぐるみのように大人しく抱っこされるからです。しかし、帰巣本能が強いため、家に来たばかりのときは多少体調を崩すかもしれません。初心者はやめたほうがいいです。
ロシアンブルー
ロシア原産の自然発生種です。猫は一般的にはクールなイメージがあると思いますが、ロシアンブルーはまるで犬のように飼い主に忠誠心が強く、飼いやすい品種です。人見知りであるため多頭飼いには向きません。飼い始めたときも慣れるまで多少時間がかかりますが、一旦飼い主だと認めると強い愛情を示すようになります。
雑種
Hisashi from Japan [CC BY-SA 2.0], via Wikimedia Commons
世界中に存在する血統書の無い猫たちです。いろいろな遺伝子が混じり合っているため、どんな性格かは個体ごとに千差万別であり、活発な子もいれば大人しい子もいます。最大の特色は病気に強いということ。体力もあり、純血種より寿命も長いです。お気に入りの子がいれば飼うのがおすすめです。
猫の品種はこの他にもたくさん
今回はメジャーな品種30種を紹介させていただきました。猫の品種は100種類以上いますがどの子も個性があってかわいいです。
この記事が参考になれば幸いです。