猫に噛まれたとき、じゃれているのか怒っているのか、気持ちがわからなくて悩むこともあるかもしれません。
成長した猫が他の猫や人を噛んで傷つけてしまわないように、子猫のうちにしつけておくことが必要です。
今回は猫の噛み癖を直す方法や、効果的なしつけ方を解説していきます。
そもそも猫はなぜ噛むの?
猫はもともと肉食動物で攻撃性が高い生き物なので、獲物のような動きや音、ニオイには敏感です。お腹が空いていないときも、狩猟本能や身を守るために噛むことがあります。
また、甘えたいときにも噛むことがあります。猫にとって噛むこと自体は当たり前のことですが、その理由を汲み取って対策してあげることが大切なのです。
猫の噛み癖を引き起こす7つの理由
まず、猫の噛み癖を引き起こす理由を順に見ていきましょう。
構いすぎ
猫は自分の身を守る本能があるので、構いすぎたり撫ですぎたりされて不快に感じると、「やめてほしい」という合図で噛んできます。
可愛いからたくさん撫でてしまいたくなりますが、猫の性格に合わせて適度なスキンシップを心がけましょう。
耳をピクピクさせる、耳を倒す(イカ耳)、体をよじって嫌そうにする、しっぽを大きくパタパタするなど、スキンシップで不快に感じた時の反応を見逃さないように注意が必要です。
遊び足りない・甘え足りない
「もっと甘えたい」「かまってほしい」など、もの足りなさを感じたら噛むことで伝えてきます。もっと遊んでほしくて、スキンシップ不足を訴えているかもしれません。
これは、親子や兄弟間でよく見られる行動で、子猫のうちに猫同士でじゃれ合って噛む力加減を覚えていきます。
生後3週間~2が月くらいの早い時期に、親や兄弟と一緒の生活の経験がなく、一匹で育てられると噛み癖がある猫が多くなるようです。
狩猟本能が刺激された
ついさっきまで楽しそうに遊んでいても、遊びがエスカレートして急に噛まれることもあります。
飼い猫であっても、狩猟本能は残っています。動くものを見て刺激を受けると、捕まえたい一心で噛んでしまうのかもしれません。狩りに使っていたエネルギーをおもちゃなどで遊ばせて発散させてあげましょう。
ストレスを感じている
人と同じように、猫もストレスを感じると、周りに八つ当たりします。原因とは無関係な相手を攻撃することがあり、これを転嫁行動と呼びます。
環境の変化があったとき、興奮したとき、驚いたときに見られるはずです。急に噛むようになったのであれば、原因に気づいて取り除いてあげましょう。
歯がかゆい
子猫の乳歯は、生後1ヶ月で生え揃い、生後3~6ヶ月に乳歯が生え変わります。
この時期は歯がムズムズして何か噛みたくなるので、噛む欲求を満たすものを与えてあげる必要があります。ゴムのおもちゃやぬいぐるみ、フェルトなど、猫の口の中を傷つけない柔らかい素材のものがおすすめです。
もし手を噛んできたら、おもちゃにすり替えるようにしてみてください。噛んでもいいものがあると、そこで噛む欲求を満たせるでしょう。
発情期
「グリップ」という習性により噛んでしまうのかもしれません。未去勢のオス猫に多い傾向があります。
グリップとは、発情期にオス猫がメス猫の首を噛んでおとなしくさせようとする行動で、人や物に噛みつくこともあります。去勢することで、ほとんど噛まなくなるといわれています。
病気や怪我
病気や怪我があると、その場所を触らせないよう噛みます。毎回同じ場所を触ったときに怒るというような規則性があれば、怪我による痛みがあるのかもしれません。
てんかんや脳腫瘍、甲状腺機能亢進症などの病気でも攻撃することがあります。体のどこに異常があるのか原因を突き止めることが重要なので、気になるようであれば早めに動物病院に相談してみましょう。
猫の噛み癖を直す正しいしつけ方
猫が噛む理由はさまざまですが、噛み癖を直すための正しいしつけ方をご紹介します。
痛いと伝える
はっきり「痛い」と伝えて、その後無視するようにしましょう。
遊んでいた場合にも、噛まれたら遊びを中止します。これを繰り返すと、噛む=楽しい時間が終わると学習するので、猫の噛み癖を直すことができるでしょう。
噛まれた手を引かない
噛まれた手を引き抜かないようにします。サッと手を引くと獲物が逃げたと勘違いしてヒートアップするのと、猫の歯で手や指に怪我をしてしまうかもしれません。
噛まれた時は、逆に手や指を口にグッと押し込んで落ち着かせ、はっきりと「痛い」ことを伝えるようにします。
手で遊ばない
遊んでじゃれているだけでも、手をおもちゃと勘違いして噛んでしまうため、手を使った遊びをしないことが大切です。
小さい頃から人の手で遊んできたことが、猫の噛み癖の原因の大部分だといわれています。子猫が可愛くて手や指で遊んでいると、いつの間にかスキンシップから遊びへ切り替わってしまうのです。
手に近づいてきたときは動かさず、相手にしないようにします。スキンシップは手で、遊ぶときはおもちゃでしっかり遊ぶというように使いわけましょう。
一人遊びを覚えさせる
猫は一人遊びが得意な動物ですが、なかには一人遊びをしない猫もいるかもしれません。
そんなときは、おもちゃを与えて一人遊びを覚えさせてあげるといいでしょう。お留守番が多い猫には特に一人遊びで楽しく過ごせるように、噛む欲求を満たしてあげるようなおもちゃを選ぶ必要があります。
猫の噛み癖に逆効果のしつけ方法
どんなときでも怒鳴ったり、叩いたりしてはいけません。叩かれた理由がわからず、近づくと叩かれると判断してしまいます。信頼関係が崩れてしまい、さらに問題行動が増える可能性もあります。
また、噛まれてから時間を空けて叱るのは、猫には意味がわかりません。噛まれたらすぐに、「痛い」と伝えるようにしましょう。
猫に噛まれた場合の対処法
では、猫に噛まれた時はどのように対処すればいいのかを説明します。
甘噛みだから大丈夫、少しの出血でたいした傷ではないから、などと油断はできません。猫の口や爪の中にいるパスツレラ菌が原因となるパスツレラ症などの病気を引き起こすことがあります。パスツレラ症は発熱や痛みが現れたり、肺炎や気管支炎などの呼吸器症状が起きたりすることもあります。
もし、猫に噛まれた場合は応急処置的に、傷口を流水でしっかりと洗い清潔な状態にする必要があります。症状が悪化するようなら、早めに病院で診察を受けてください。
猫が人間以外を噛む場合は?
猫が人間以外を噛むこともあります。その理由を見ていきましょう。
自分の体を噛む
しっぽや手など、自分の体を噛むのは、体の不調が原因の可能性が高いです。
同じ箇所を何度も噛んだりなめたりしている場合はその箇所をチェックしましょう。
一か所を噛んだりなめたりしすぎて、皮膚炎を起こすこともあります。ストレスであれば原因に気づいて、できるだけ取り除いてあげるようにして、症状がひどい場合は動物病院で診てもらってください。
ビニール袋や布製品を噛む
ストレスや遊び不足などで起こります。噛むだけでなく、ビニール袋や布製品を誤飲する可能性があるので早急な対処が必要です。
もし大量に食べてしまうと、嘔吐や消化管閉塞につながることがあります。環境整備をしてストレス解消をしてあげるとともに、誤飲防止の対策もしておきましょう。
まとめ
猫が噛むこと自体は当たり前のことです。その理由はさまざまですが、理由を知ることで猫の気持ちを汲み取って対処できるようになります。
また、可愛いからといって、噛み癖をそのまま放置してしまうと、成長したときに手に負えなくなるかもしれません。
ぜひ、子猫のうちから噛み癖を直すためのしつけ方法を取り入れてみてくださいね。