猫という生き物は、本来警戒心が強いものです。産まれたときから人間がそばにいる場合は別ですが、保護猫やペットショップから迎え入れた猫は、中々警戒心を解いてくれません。
せっかく家族になったのですから、できれば早くに警戒心を解いてもらい、仲良くなりたいですよね。そこで当記事では、猫の警戒心を解く方法を紹介していきます。
猫の警戒心を解く方法
警戒心を解く方法は、いくつかあります。どの方法においても大切なのは、焦らないことです。ずっと一緒に暮らしていくのですから、焦らずじっくり、信用してもらえるよう接していきましょう。
安心できる環境を用意する
キャットタワーや、猫が隠れられる段ボールなどを用意してあげましょう。猫は高いところや狭くて暗めなところが好きです。彼らの先祖は、外敵に見つからないように薄暗く狭い場所に身を潜めて暮らしていました。今になっても、その野生の本能が色濃く残っているのです。
猫が「ここなら安心」と思える場所を作ってあげてください。キャットタワーが用意できない場合は、段ボールにタオルや毛布を敷いておいてあげましょう。小さなもので十分です。
おもちゃで遊んで仲良くなる
猫が隠れていないときは、おもちゃで遊んでみましょう。猫のおもちゃと言えば猫じゃらしが定番です。最近はさまざまなタイプの猫じゃらしが販売されています。自動のものもありますが、飼い主と仲良くなるには手動のものがいいでしょう。
猫のストレス発散にもなりますし、運動不足の解消にもなります。「この人と遊ぶのは楽しい」ということを認識してくれれば、警戒心も解けていきます。
ゆっくりとした動作を心がける
猫と接するときには、なるべくゆっくりした動作にしましょう。人間が機敏に動いたり大きな動きをしたりすると、猫がびっくりして逃げてしまいます。驚かせるつもりはない、ということを理解してもらうことが大切です。
まばたきで愛情を表現する
猫は、ゆっくりとまばたきをすることで好意的になるというイギリスの研究結果があります。これは猫同士の場合だと考えられてきましたが、最近になって人間がしても効果があることが明らかになりました。
ただ、猫の目をじっと見つめることは、ケンカを売っているものと認識されてしまいます。
ですので、目を見つめたままにせず、「ゆっくり二秒ほどかけてまばたき」を繰り返しましょう。猫の方もまばたきをすれば、信頼の証になります。
警戒している猫にやってはいけないこと
警戒している猫は、動くものに対して反射的に攻撃してきます。鋭い爪で引っかかれたり、手加減なしに嚙みつかれたりすると出血を伴う怪我をしてしまいますから、注意が必要です。
警戒している猫に対しては、下記のことはしないようにしましょう。
じっと目を合わせる
野生動物の世界では、目を合わせるという事は戦いの前触れの行為を表します。目線を逸らして、戦う意思が無いことを伝えてください。
人間でも、仲良くない相手にじっと見つめられると「なぜ見られているんだろう…」緊張したり不安になったりしますよね。猫はもっと敏感です。警戒している猫に、ケンカを売っていると思われないようにしましょう。
いきなり撫でる
たとえ猫の方から近づいてきたとしても、そこまで心を許しているとは限りません。しっかりとした信頼関係が結べるまでは、そっと見守ったり話しかけたりするだけでOKです。
いきなり撫でたり抱っこしようとしたりすると、猫がパニックを起こしてしまうこともあります。猫が自然と身体を擦りつけてきたり匂いを嗅ごうとしたりしてくるまでは、こちらから触るのは我慢しましょう。
大きな音を立てる
ただでさえ警戒している猫に大きな音を立てると、びっくりしてさらなる恐怖心をあおってしまいます。そして、一度植え付けてしまった恐怖心は、なかなか取れることはありません。
猫は騒がしいのも高い声も苦手なので、静かな環境においてあげましょう。話しかけるときも、大きな声で呼びかけるのではなく、優しく静かに声をかけてください。「この人は自分を怖がらせる」と認識されてしまうと、顔を見るだけで逃げるようになってしまいます。
飼い主までビクビクする
猫は非常に敏感な生き物です。猫側が警戒しているからと言って人間まで不安になってしまうと、その不安な気持ちが伝わってしまいます。
おおらかな気持ちで、猫を包み込んであげましょう。こちら側がどんと構えていることで、猫の緊張も解けていきます。
警戒心を持っている猫の特徴
猫が警戒心をあらわにしているときには、いくつかの特徴があります。その特徴を把握していれば、無駄に警戒心をあおるようなことをしなくて済みますよね。紹介していきますので、参考にしてください。
猫が警戒しているときのポーズ
しっぽを太くする、しっぽを巻いて座る、背中を高く丸めるなどしているときは、明らかに警戒しています。敵だと認識している相手に威嚇している証拠であり、こういうポーズをしているときに構おうとすると、攻撃されてとても危険ですのでやめましょう。
ほかにも、耳をぴんと立てて体制を低くしているときは臨戦態勢に入っています。しばらく放っておくのがいいでしょう。
猫が警戒しているときの鳴き声
「シャーッ」や「フー」と鳴く、低くうなるなどしているときも、警戒しているときです。牙をむき出しにしているので、猫を飼ったことが無い人にもわかりやすいサインですね。
「これ以上近づいたら攻撃する」という意思表示なので、決して近づかないようにしましょう。こういったときの猫は好戦的なわけではなく、むしろケンカをしないために威嚇しているのです。ケンカをしなくて済むための行動ですので、構うことはせず、目も合わせないようにしてください。
猫の警戒心が強いのはなぜ?
ところで、どうして猫は警戒心が強いのでしょうか。それは、彼らが生きてきた歴史に理由があります。下記に説明していきますね。
動物の本能から
猫は基本的に単独で行動する動物です。先祖の代から、自分の身は自分で守ってきました。そうしないと生き残っていけません。周囲を警戒し、敵を排除することで生き残ってきた動物で、その野生の一面は犬などに比べて多くが残ったままなので、今でも警戒心が強いのです。
家の中で産まれ、人間に守られてきた猫なら警戒心が薄い場合もありますが、多くの場合は本能的に警戒心が強いと思っていたほうがいいでしょう。
敵か味方かわからないから
家に迎えたばかりのころは、猫には飼い主の素性が分かりません。連れて来られただけでは敵か味方か分からないから警戒してしまいます。飼い主が敵ではない、むしろ守ってくれる味方だと理解してくれれば、警戒心は解けていきます。
野良猫や保護猫は親のしつけも関係している
野良猫や保護猫は、親猫の行動から「人間は警戒するもの」と学んでいます。追いかけられたり嫌なのに触られたりしたことが、親から伝えられているのです。
子猫を守ってきたのは親猫ですから、親猫が嫌な思いをしていると、「人間は嫌なことをしてくる」と刷り込まれているわけですね。
まとめ
警戒心の強い猫と仲良くなる方法を紹介してきましたが、いかがでしたか?
せっかく迎え入れたのであれば、早く仲良くなりたいと思うのは当然です。でも、焦らずじっくり、確実に仲良くなっていきましょう。
長く一緒に暮らすために、ストレスを与えないよう猫に合わせたコミュニケーションを取ってくださいね。